3. 住民税が非課税になる要件は地域により異なる

前章のシミュレーションでは、東京23区内を例に試算しましたが、住民税が非課税になる要件はお住いの地域によって変わります。

具体的には、生活保護制度における「級地区分」によって異なります。

級地区分とは、生活保護費を決める際に、地域ごとの生活様式や物価などの違いを考慮し、不平等のないように地域差を設けるための区分のことです。

1級地から3級地の3つに区分され、それぞれがさらに2つに細分化されています。

1級地は東京23区や横浜市、大阪市などの大都市が該当します。

2級地は1級地に次ぐ比較的都市部の地域が該当し、3級地は一般的に地方の市町村や農村部などが該当します。

3.1 級地区分ごとの住民税非課税になる要件

では、級地区分により住民税非課税となる要件がどのように異なるのか見ていきます。

【1級地:東京都23区内など】

  • 二人以上世帯:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
  • 単身世帯:45万円以下

【2級地:埼玉県川越市など】

  • 二人以上世帯:31万5000円×(同一生計配偶者+扶養親族数+1)+28万9000円以下
  • 単身世帯:41万5000円以下

【3級地:長野県飯田市など】

  • 二人以上世帯:28万円×(扶養親族+同一生計配偶者+1)+10万円+16万8000円以下
  • 単身世帯:38万円以下

夫婦二人世帯の場合、1級地では101万円以下となりますが、3級地では82万8000円と約18万円低く設定されています。

また、単身世帯では1級地は45万円以下ですが、3級地では38万円以下と7万円低くなっています。

4. まとめにかえて

現在の65歳以上のシニア世代では、約半数の世帯が住民税非課税世帯となっています。

住民税非課税世帯となるには、本人や配偶者の年金受給額が一定金額以下である必要があり、具体的な金額は自治体によって異なります。

お住まいの地域がどの級地区分に該当し、年金受給額がいくらまでなら住民税が非課税になるのか知りたい場合は、自治体の住民税担当窓口などで確認しましょう。

参考資料

木内 菜穂子