このニュース解説の読みどころ
仲裁を申し立てていた国際仲裁裁判所より、VW社が保有するスズキ株(発行済み株数の19.9%)を処分するよう裁定が下されたことが発表されました。
スズキ(証券コード7269)が発行済み株数の約2割を買い取ります。
スズキは大手自動車グループから離脱して再び独自路線へ回帰することになります。
まずは事実関係の整理から
2015年8月30日、日曜日の夕方、従前より訴訟問題に発展していたVW社(ドイツ)との資本・業務提携解消問題が急展開しました。仲裁を申し立てていた国際仲裁裁判所より、VW社が保有するスズキ株(発行済み株数の19.9%)を処分するよう裁定が下されたことが発表されました。これにより、VW社が持つスズキ株が売却されることになりますが、スズキが時間外取引等を経てこれを買い取る模様です。
今回の提携解消によるスズキへの影響を考える
今回の決定により、現時点でハッキリ言えることは、2点です。
- スズキが発行済み株数の約2割を買い取る(その後は当面、自己株式になると見られる)
- スズキが大手自動車グループから離脱して再び独自路線へ回帰
最初の株式買い取りに要する資金額は不明ですが、現状株価に基づくと約4,600億円になると試算できます。スズキの手元流動性(約1兆1,500億円、「現預金」と「短期有価証券」の合計)を考えれば対応可能であるものの、事業拡大に伴う資金ニーズもあるため、決して小さな金額ではありません。一時的に財務体質が悪化する局面も考えられます。
また、スズキが大手傘下から離れて独自路線を歩むことに関しては、スズキの意志とは関係なく、株式市場では別の大手自動車グループからの提携相手候補として注目度が高まる可能性があります。
今後のスズキについての注目点
まずは、スズキの株式買い取り額がどれくらいの規模になるか、また、その資金を自己資金で賄うのかにも注目すべきでしょう。その後、スズキが独自路線で生き残ることが可能か否かに注目が集まると考えられますが、当面は大きな動きはないと見ています。
注:本記事は個人投資家向け経済金融メディアLongine(ロンジン)の記事をダイジェスト版として投信1編集部が編集し直したものです。
【2015年8月31日 投信1編集部】
■参考記事■
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LIMO編集部