今月の6月13日は年金の支給日でした。

シニアの方にとって年金は当面の生活費となる大切なお金ですが、昨今の物価高の影響もあって「年金だけでは生活が苦しい」と考える方は少なくありません。

そこで今回の記事では、2025年度に受け取れる年金は昨年と比較してどのように変わったか、さらに、現代のシニアが受け取っている年金額について確認していきましょう。

1. 2025年度の年金額は増額でも実質は目減り

2025年度に支給される年金は、前年度より1.9%引き上げられるので、前年度と比較すると年金額は上昇することになります。下記の2025年度の年金額のモデルケースで、確認してみましょう。

  • 国民年金(1人分の老齢基礎年金):6万9308円 ※前年度より1308円プラス
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):23万2784円 ※前年度より4412円プラス

上記は年金額の例ですが、前年度より1.9%引き上げられることにより、国民年金を満額受け取っている方では1308円のプラス、また、標準的な夫婦世帯では4412円のプラスになっています。実際には、それぞれの世帯でプラス額は異なります。

年金額は物価上昇率や名目手取り賃金変動率を用いて毎年改定されていますが、2025年度はマクロ経済スライドによる調整がおこなわれています。

この措置は年金財政を健全に維持し、世代間の公平を図るためですが、名目手取り賃金変動率(2.3%)から調整率(−0.4%)が控除されるため、年金の伸びは実質的に抑制されていると言えます。