現在、都道府県によって最大で月額4万円以上の開きがある厚生年金の受給額。こうした中、6月19日には自民党が7月の参院選に向けた選挙公約を発表。「5つのアクション」のひとつである「社会保障」の中核を担う制度として、厚生年金の安定性と公平性があらためて注目されています。

今回は、厚生労働省の統計をもとに、厚生年金の平均額や地域差、受給額の決まり方について解説します。

1. 【平均いくら?】厚生年金の全国水準を確認

会社員や公務員などで厚生年金に加入して働いていた人は、老齢厚生年金+老齢基礎年金(国民年金)の併給となります。

厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の全受給権者の平均年金月額は14万6429円でした。

ただし、男女差・個人差があり、実際に受け取る金額は一人ひとり違います。

※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。

〈全体〉平均年金月額:14万6429円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

※国民年金部分を含む

1.1 厚生年金受給額の個人差

  • 1万円未満:4万4420人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4367人
  • 2万円以上~3万円未満:5万231人
  • 3万円以上~4万円未満:9万2746人
  • 4万円以上~5万円未満:9万8464人
  • 5万円以上~6万円未満:13万6190人
  • 6万円以上~7万円未満:37万5940人
  • 7万円以上~8万円未満:63万7624人
  • 8万円以上~9万円未満:87万3828人
  • 9万円以上~10万円未満:107万9767人
  • 10万円以上~11万円未満:112万6181人
  • 11万円以上~12万円未満:105万4333人
  • 12万円以上~13万円未満:95万7855人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3629人
  • 14万円以上~15万円未満:94万5907人
  • 15万円以上~16万円未満:98万6257人
  • 16万円以上~17万円未満:102万6399人
  • 17万円以上~18万円未満:105万3851人
  • 18万円以上~19万円未満:102万2699人
  • 19万円以上~20万円未満:93万6884人
  • 20万円以上~21万円未満:80万1770人
  • 21万円以上~22万円未満:62万6732人
  • 22万円以上~23万円未満:43万6137人
  • 23万円以上~24万円未満:28万6572人
  • 24万円以上~25万円未満:18万9132人
  • 25万円以上~26万円未満:11万9942人
  • 26万円以上~27万円未満:7万1648人
  • 27万円以上~28万円未満:4万268人
  • 28万円以上~29万円未満:2万1012人
  • 29万円以上~30万円未満:9652人
  • 30万円以上~:1万4292人

このように、厚生年金の受給額には個人差があります。また、厚生年金の受給額は、お住まいの都道府県によっても平均額に差が出ています。

2. 【都道府県別】年金が多い県・少ない県はどこ?

厚生年金の平均受給額は、都道府県で差があります。では、平均年金月額が「多い都道府県」「少ない都道府県」はどこなのでしょうか。

厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、ランキング形式で見ていきましょう。

2.1 厚生年金の平均年金月額が多い都道府県ベスト5

  • 《1位》神奈川県:16万6578円
  • 《2位》千葉県:16万1368円
  • 《3位》東京都:15万9921円
  • 《4位》奈良県:15万8862円
  • 《5位》埼玉県:15万8003円

2.2 厚生年金の平均年金月額が少ない都道府県ベスト5

  • 《1位》青森県:12万4383円
  • 《2位》沖縄県:12万5435円
  • 《3位》秋田県:12万5476円
  • 《4位》宮崎県:12万5499円
  • 《5位》山形県:12万7133円
  • 北海道:13万7572円
  • 青森県:12万4383円
  • 岩手県:12万9036円
  • 宮城県:14万1145円
  • 秋田県:12万5476円
  • 山形県:12万7133円
  • 福島県:13万2776円
  • 茨城県:14万9104円
  • 栃木県:14万5522円
  • 群馬県:14万4777円
  • 埼玉県:15万8003円
  • 千葉県:16万1368円
  • 東京都:15万9921円
  • 神奈川県:16万6578円
  • 新潟県:13万4716円
  • 富山県:14万631円
  • 石川県:13万7933円
  • 福井県:13万6578円
  • 山梨県:14万869円
  • 長野県:14万743円
  • 岐阜県:14万6072円
  • 静岡県:14万7916円
  • 愛知県:15万6775円
  • 三重県:14万8059円
  • 滋賀県:15万657円
  • 京都府:14万8015円
  • 大阪府:15万2686円
  • 兵庫県:15万5454円
  • 奈良県:15万8862円
  • 和歌山県:14万2713円
  • 鳥取県:12万9703円
  • 島根県:13万1円
  • 岡山県:14万2579円
  • 広島県:14万7044円
  • 山口県:14万4503円
  • 徳島県:13万383円
  • 香川県:14万453円
  • 愛媛県:13万6630円
  • 高知県:12万8607円
  • 福岡県:14万2104円
  • 佐賀県:13万480円
  • 長崎県:13万3329円
  • 熊本県:12万8956円
  • 大分県:13万2853円
  • 宮崎県:12万5499円
  • 鹿児島県:12万9639円
  • 沖縄県:12万5435円

都道府県別の平均年金月額において1位の神奈川県と47位の青森県では、その差は月額4万円以上になります。年間で考えると50万円を超えるため、地域ごとの格差は小さいとはいえないでしょう。

厚生年金の受給額は決して居住地だけで決まるわけではありません。

では、なぜお住まいの地域によって格差が生じるのでしょうか。その理由は、厚生年金の決まり方にあります。

3. 【どう決まる?】厚生年金の金額に差が出る理由

厚生年金の受給額は、現役時代の給与や賞与といった報酬と、年金の加入期間の影響を受けます。そのため、個人差が出やすくなっています。

厚生年金の報酬比例部分は、以下の計算式の合計で決まります。

  • A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
  • B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

つまり、年収が高い人や加入期間が長い人ほど、多くの厚生年金を受給できる仕組みとなっているのです。

都道府県ごとに賃金の水準には差があり、都市部においてはより高い傾向があります。そのため、将来受け取る年金額にも同様の傾向が見られるというわけです。

なお、どれほど年収が高くても、厚生年金の加入期間が短ければ、年金額は低くなります。

また、都道府県によって自営業の比率や共働きの比率も違います。そのような背景から、都道府県ごとに年金受給額が異なると考えられます。

4. 【国民年金の平均額】地域差は小さい?

国民年金の受給額は、「国民年金保険料をどれだけ納付したか」によって決まるため、個人差や男女差、都道府県ごとの格差もそれほど大きくありません。

参考までに、国民年金(老齢基礎年金)における都道府県ごとの平均年金月額を見てみましょう。

4.1 都道府県別「老齢基礎年金」の平均年金月額

  • 北海道:5万6723円
  • 青森県:5万5369円
  • 岩手県:5万8866円
  • 宮城県:5万7706円
  • 秋田県:5万7299円
  • 山形県:5万8954円
  • 福島県:5万8101円
  • 茨城県:5万7604円
  • 栃木県:5万7749円
  • 群馬県:5万8791円
  • 埼玉県:5万7252円
  • 千葉県:5万7597円
  • 東京都:5万6584円
  • 神奈川県:5万7597円
  • 新潟県:6万113円
  • 富山県:6万1220円
  • 石川県:6万170円
  • 福井県:6万532円
  • 山梨県:5万7477円
  • 長野県:6万262円
  • 岐阜県:5万9501円
  • 静岡県:5万9398円
  • 愛知県:5万8290円
  • 三重県:5万9675円
  • 滋賀県:5万9435円
  • 京都府:5万6525円
  • 大阪府:5万5463円
  • 兵庫県:5万7447円
  • 奈良県:5万7246円
  • 和歌山県:5万6067円
  • 鳥取県:5万9770円
  • 島根県:6万497円
  • 岡山県:5万9891円
  • 広島県:5万9286円
  • 山口県:5万9406円
  • 徳島県:5万7095円
  • 香川県:6万25円
  • 愛媛県:5万8059円
  • 高知県:5万6268円
  • 福岡県:5万6622円
  • 佐賀県:5万9344円
  • 長崎県:5万6876円
  • 熊本県:5万8172円
  • 大分県:5万6685円
  • 宮崎県:5万7571円
  • 鹿児島県:5万7963円
  • 沖縄県:5万2837円

国民年金(老齢基礎年金)の受給額は5~6万円台となっています。なお、全国平均は5万7700円です。

もし厚生年金の上乗せが見込めないのであれば、独自に老後の資金を準備する必要性が高まります。

5. 厚生年金の「平均」と「差」に注目を

今回は、厚生労働省の統計をもとに、厚生年金の平均月額と都道府県別の受給額について解説しました。

まとめると、

  • 全国平均は14万6429円、都道府県で最大4万円以上の差
  • 賃金水準や就労形態の違いが年金額の違いに反映される
  • 年金制度を支える仕組みや地域の実情を知ることが、将来設計の第一歩

まずは「自分の受け取る年金がいくらになるか」を具体的に確認していくことが大切です。

参考資料

村岸 理美