「1億円説」もある老後資金と貯蓄、本当はいくら必要か 厚生労働省資料等の数値を前提に考える

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これまで見てきたように、世帯ごとに水準は異なるものの、年金収入もありますし、定年退職後も仕事に就かれて収入があるという方もいるでしょう。

いわゆる老後に必要な資金や老後に備える貯蓄という意味では、老後に手にする収入総額から老後の支出総額を引いた結果の不足分が「老後に向けて備えておくべき貯蓄額」といえるでしょう。

自分で年金収入と生活費を考慮して計算してみた結果、「数千万円も不足する」と気づいた方はどうでしょうか。

そうした方でも金融機関に預貯金がある方もいるでしょうし、以前から終身保険に加入していて、定年後にその契約を解約し、解約返戻金を手にできるという方もいるでしょう。不動産をお持ちの方もいるかと思います。したがって、不足金額がすぐに老後に必要な貯蓄というわけでもないでしょう。

老後に向けた貯蓄はどうするか

ただ、それでも不足するという場合には、本当に貯蓄が必要ということになります。

貯蓄というと、「預貯金」をイメージされる方も多いかもしれません。

しかし、多くの方は既にお分りのように、預貯金は、貯まりはしますが、大きく殖えることはありません。

したがって、毎年貯蓄をしていく中で、老後に向けて準備をしていくためには、リスクを取りながら「資産運用」をしなくてはなりません。

年齢がまだ30代や40代であれば、毎月の手取り収入の中から「資産形成」分としてリスクを取りながら時間をかけながらじっくり運用をすることができます。

また、50代で定年退職が目の前に迫っているという方は、収入があるうちにどこまで増やすことができるのかというのがテーマの方もいる一方で、ある程度資産が積みあがったので、リスクをある程度落とすというように、コントロールをしながら老後に入ろうという方に分かれてくるかもしれません。

ただ、一つ言えるのは、老後に入っても平均寿命が長くなる中で(議論すべきは健康寿命かもしれませんが)、「資産を使いながら増やす」という難易度の高いことがややもすれば求められかねない状況になりつつあるということです。

自分が理解していない金融商品に手を出す必要はありませんが、これまで以上に資産に関するリテラシーは求められているということは言えます。グローバルの資本市場の雲行きが怪しくなりつつある中で、長期で運用するためにはどのような資産で運用するのかが改めて問われつつあるともいえるでしょう。

青山 諭志

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執筆者

慶應義塾大学卒業後、国内大手及び外資系大手金融機関に合わせて10年以上勤務し、株式市場を中心にマーケット関連の仕事に従事。その後独立。金融機関では主にアナリストとして企業や産業調査活動に従事。調査内容としてはミクロ・セミマクロが主な分析対象だが、好きなのはマクロ分析。記事で取り扱うテーマはマーケット、企業分析といった株式市場関連の分析や貯蓄といった個人の資産運用(パーソナルファイナンス)を取り扱う。最近は「富の分配」問題や「お金持ち」である富裕層研究にも時間を割いている。その他に興味のある分野はブロックチェーン技術とゲノム(ジーノム)。Twitter:SatooshiX