では、ステップ2で見た「老後の支出合計」はどのくらいなのでしょうか。

厚生労働省「平成28年老齢年金受給者実態調査」では、「夫の年齢階級別・世帯の支出額階級(月額)別 構成割合(夫婦世帯)」として、平均額を年齢層別に開示しています。

その中で60-64歳の年齢層では「27.5万円」が月額の世帯支出額として示されています。

また、65歳以上では「24.4万円」とされています。世帯支出額の傾向としては年齢を重ねるにしたがって、世帯支出額は大きくは減少傾向にあることも付け加えておきましょう。

ここでは仮に、65歳で定年退職をし、その生活水準、つまり世帯支出額が続いたらどうなるでしょうか。

年間の支出額は以下のように計算できます。

24.4万円×12ヶ月=292.8万円

年間で約300万円といったところでしょう。

ちなみに、ここでいう世帯の支出額は「平均支出額」となっていることに注意が必要です。

あらためて認識しておきたいのは、あくまでも「平均値」ということで、この水準よりも低い支出ですむという方もいるでしょうし、高くなるという世帯もあるでしょう。

生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査」によれば、「ゆとりある老後生活費」として月額「34.9万円」とされています。先ほどみた24.4万円と比べると、実に10万円近くのずれがあります。

ゆとりある老後生活費を前提に年間支出額を考えると以下の通りとなります。

34.9万円×12ヶ月=418.8万円

ゆとりある生活に必要な年間支出を約420万円とみれば、その後に必要な支出は、年数に応じて以下のようになります。

20年では、420万円×20年=8400万円

25年では、420万円×25年=1億500万円

30年では、420万円×30年=1億2600万円

となり、「1億円」というオーダーの金額が見えてきます。

ただ、年齢が上がっていく中で誰もがいつまでも「ゆとりのある老後生活費」を使うような状況でもないでしょうし、家で家族と過ごす時間が長くなれば支出は減るかもしれません。したがって、ここで見たような単純な掛け算で算出できるものではないということは付け加えておきます。

老後にいくらの資金が必要で貯蓄をしなければならないか

ここまで老後の支出額を見てきましたが、もっともこれだけで、老後に1億円が必要という話にはなりません。