2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。
今回の年金制度改正法ではパートなどで働く人の社会保険加入対象の拡大や遺族年金の見直しなどがありますが、働くシニアへの影響が大きいのが「在職老齢年金制度の見直し」でしょう。
60歳以降の過ごし方について、「いつまで働き続けるか」や「年金の受給開始年齢」などは悩まれる方も多いと思います。
今回は65歳以上のお金事情をみながら、在職老齢年金制度の見直しについてもみていきましょう。
1. 65歳以上の無職夫婦世帯の1カ月の生活費は?
65歳以上になると、食費や教育費などが減っていき、生活費は現役時代よりも少なくなるイメージですが、実際はどうなのでしょうか。
総務省統計局の「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、65歳以上無職夫婦世帯の1カ月の生活費は28万6877円。
これを多いと捉えるかどうかは人によると思いますし、住んでいるエリアなどによっても金額は上下するので、参考程度に確認するとよいでしょう。
支出の大まかな内訳は以下のとおりです。
- 消費支出:25万6521円
- 非消費支出:3万356円
また、消費支出の割合は以下のとおりとなっています。
- 食料:29.8%
- 住居:6.4%
- 光熱・水道:8.5%
- 家具・家事用品:4.8%
- 被服及び履物:2.2%
- 保健医療:7.2%
- 交通・通信:10.8%
- 教育娯楽:9.9%
- その他の消費支出:20.4%
1点気になるのが、住居費6.4%です。これを実際に計算すると約1万6000円ですが、この金額で住める賃貸はそれほど多くないでしょう。
賃貸に住んでいると想定するなら、住居費はもう少し多めに計算したほうが実態に近いはずです。
老後も賃貸に住む予定の人は、生活費を考えるときに住居費の加味を忘れないようにしましょう。