人生100年時代と言われる現代において、私たちの将来設計はますます重要になっています。特に、平均寿命が延び、70歳代になっても元気に働くシニアが増える一方で、「健康寿命」との間にギャップがあることも見逃せません。では、実際にシニア期を迎えた夫婦の家計はどのような状況なのでしょうか。今回はシニア世代夫婦の貯蓄の実態や、毎月の生活費の収支、そして家計の健全性を示す「エンゲル係数」などを参考に、年金生活を安定させるためのヒントを探ります。

1. 《健康寿命と平均寿命》のギャップ「男性は約8.5年、女性は約11.7年」

厚生労働省発表の「令和5年 簡易生命表」によると、2023年時点の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳です。

また、総務省の「2024年(令和6年)労働力調査」(2025年1月公表)によると、全就業者数6781万人のうち「65歳以上の就業者数」は前年に比べて16万人増加の930万人で、働くシニア層は年々増えていることがわかります。

一方で、2022年時点での健康寿命(※)は、男性72.57歳、女性75.45歳です。平均寿命と健康寿命の間には、男女ともに大きなギャップが存在します。男性は約8.5年、女性は約11.7年もの間、健康上の問題で日常生活が制限される可能性があるのです。この期間は、医療費や介護費といった経済的な負担が増加する可能性あります。そのため、現役時代からこの「健康ではない期間」に備えた計画的な準備を考えることが非常に重要になります。

※健康寿命とは:「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。

働くシニア世代を後押しする仕組みは整いつつあります。しかし、医療費や介護費などがかさむ世代でもあるため、健康面での不安を感じることも増えるのではないでしょうか。

そのため、貯蓄を取り崩しながら年金生活を送る世帯も多いかもしれません。現役世代のうちから、シニア世代に備えてしっかりと計画した上で貯蓄をし、年金生活の安定を図ることが大切です。