4. 【年金ワンポイント】年金の「扶養手当」のような加給年金の仕組み
加給年金は、いわば年金の「扶養手当」のような制度です。
厚生年金保険の加入期間が20年以上ある人が「65歳になった時点で、一定条件を満たす扶養家族がいる場合」に、本人の厚生年金に上乗せされる年金です。
加給年金の対象となるのは、以下のような世帯です。
- 厚生年金加入期間20年以上の人が、年下の配偶者や18歳未満の子を扶養している世帯
令和7年4月からの加給年金額(および年齢制限)
配偶者:23万9300円
※65歳未満であること(大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません)
1人目・2人目の子:各23万9300円
※18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子
3人目以降の子:各7万9800円
※18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子
配偶者が65歳になるまで加算されるため、夫婦の年齢差が大きいほど受け取れる期間が長くなるしくみです。
厚生年金が全額停止の場合は加給年金も停止となる点、さらに配偶者が65歳になった時点で加給年金は終了し、振替加算という別の制度に移行する点も知っておきましょう。
5. まとめにかえて
高齢期の家計収支は、老後の収入源である「年金額」と、現役時代からの「貯蓄額」によって大きく左右されます。年金・貯蓄が不十分だと、老後生活の金銭面はとても厳しいものになるでしょう。
収入が少ない高齢者へ向けた「年金生活者支援給付金」という上乗せ年金も存在しますが、ちょっとした追加支援であることから、根本的な改善にはなりません。
老後生活を豊かに過ごすためにも、まずはご自身の年金額を「ねんきんネット」「ねんきん定期便」で確認し、現役時代からコツコツと貯蓄をしていくことが安心した老後を送る鍵となります。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
長井 祐人