コロナ禍以降、住民税非課税世帯などを対象とした給付金制度が何度か実施されてきました。2024年度補正予算では、物価高の影響を受けやすい世帯を支援するため1世帯あたり3万円(子ども加算あり)の給付金が支給されましたが、7月現在、多くの自治体で申請受付が終了するなど最新情報の確認が重要です。本記事では「住民税非課税世帯」とはどういう世帯なのか、所得や収入の目安なども含めて解説します。
1. 《2024年度補正予算・3万円》現金給付などの支援【住民税非課税世帯】
コロナ禍以降、住民税非課税世帯などを対象とする「給付金」の支給がしばしば実施されてきました。
2024年度補正予算(※2024年12月可決・成立)に盛り込まれた、特に物価高の影響を受けやすい「住民税非課税世帯」を対象とする給付金もその一例です。
今回の給付額は「1世帯あたり3万円」を基本とし、支給対象となる世帯のなかでも子育て世帯には、18歳以下の子ども1人につき2万円が「子ども加算」として上乗せされました。
この給付金は、2025年1月以降、各自治体で順次給付作業がスタートし、6月現在、多くの市区町村ですでに申請受付が終了となっています。
今回の給付金のような各種公的支援の対象として、「住民税非課税世帯」はよく登場する区分です。
【ご注意】給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。
2. 住民税の基本「非課税になる要件とは?」
住民税は、所得に関係なく一律課税される「均等割」と、所得に応じて税額が決まる「所得割」の2層構造です。
均等割・所得割どちらも免除となることを「住民税非課税」と言います。住民税非課税世帯とは、世帯全員が住民税非課税となる世帯のことです。
※なお「住民税の所得割のみ非課税となるケース」もあります。ただし今回の給付金など、各種支援の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
3. 【住民税非課税の3つの要件】市町村によって変わる
下記3つのいずれかに該当する場合に、住民税が非課税となります。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
- 前年の所得が各市町村などの基準を下回る
1と2の項目は全市町村で共通ですが、3は市区町村ごとに異なる基準が定められています。
また「所得」は、収入から各種控除や経費を差し引いた金額となるため、所得基準は世帯構成などにより変動します。
4. 住民税非課税世帯になるボーダーライン(大阪市の例)
住民税が非課税となる所得要件は自治体ごとに異なります。ここでは大阪市を例に見ていきましょう。
4.1 「住民税非課税世帯」となるボーダーライン(所得要件)(大阪市)
前年の合計所得金額が、次の算式で求めた額以下となる人
(1)同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
35万円 × (本人 + 同一生計配偶者+扶養親族)の人数+ 21万円 + 10万円
(2)同一生計配偶者および扶養親族がいない場合
35万円 + 10万円(給与所得者の場合、年収100万円以下の人が該当)
大阪市の住民税非課税限度額は、単身世帯であれば「前年の合計所得45万円以下」です。
同一生計の配偶者や扶養親族が1名の場合は「101万円以下」、2名の場合は「136万円以下」のように上がっていきます。
ただし「所得」は、収入から各種控除が差し引かれたあとの金額です。次は、この基準を「収入ベース」に換算した金額も見ていきましょう。
4.2 「住民税非課税世帯」となる収入目安
単身世帯の場合
前年度の所得合計:45万円以下
- 給与収入が100万円以下
- 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が105万円以下
- 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が155万円以下
同一生計の配偶者や扶養親族が1名の場合
前年度の所得合計:101万円以下
- 給与収入が156万円以下
- 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が171万3334円以下
- 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が211万円以下
同一生計の配偶者や扶養親族が2名の場合
前年度の所得合計:136万円以下
- 給与収入:205万9999円以下
- 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が218万1円以下
- 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が246万円以下
非課税限度額は収入の種類や、世帯構成により変動します。また、年金収入のみの場合は、65歳未満より65歳以上のほうが、非課税となるラインがぐんと上がります。
現役時代よりも収入が下がるケースが一般的であること、遺族年金が非課税であること、さらに65歳以上は公的年金の最低控除枠が多くなっていることなどからも、シニアの年金世帯は「住民税非課税世帯」に当てはまりやすいと言えるでしょう。
5. 【調査結果】非課税となる年代の割合とは?
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」でも、住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では約90%だったものが、60歳代78.3%→70歳代64.1%→80歳代47.5%と、シニアほど低くなっています。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024」では、二人以上世帯のうち60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と答えています。
また年金ではゆとりがないと考える世帯の約6割が、物価上昇による支出増を懸念。次いで、医療費や介護費の個人負担増に対する不安感が見える結果となりました。
6. さまざまな「住民税非課税世帯」対象の支援策
住民税非課税世帯となり、支援を必要としているのはシニア世代だけではありません。
厚生労働省が2025年3月14日に公表した「生活保護の被保護者調査(令和5年度確定値)」によると、生活保護を受けている世帯は、2023年度(2023年4月~2024年3月)1カ月平均で164万2063世帯(※保護停止中を含まず)。
このうち高齢者世帯を除く世帯が占める割合は44.7%。母子世帯3.9%、障害者・傷病者世帯計25.0%、その他の世帯15.8%の構成比となっています。
住民税非課税世帯を対象とする支援は、今回の「3万円給付」のような一時的に支給されるもの以外にもあります。
国が実施する制度としては、
- 国民健康保険料の大幅軽減
- 高額療養費制度の負担限度額引き下げ
- 介護保険料の負担軽減
- 幼児教育・保育の無償化(0~2歳児も対象)
- 高等学校の修学支援
などが挙げられます。
また、水道・下水道料金の減額措置や、市営・都営住宅などの公的賃貸住宅の優先入居など、自治体独自で設定されている優遇措置もあります。お住まいの自治体の情報を確認し、対象となった場合は活用していきましょう。
7. まとめにかえて
今回は住民税非課税世帯とはどういう世帯があてはまるのか、その条件等について解説してきました。
住民税非課税世帯にあたるケースは「①生活保護を受けている」「②障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である」もしくは「③前年の所得が各市町村などの基準を下回る」の3つです。
3つ目の条件については、各市町村で基準が異なります。
病気やケガで休職して前年に比べて給料が大幅に減った方や、退職して収入がないという方は自分が住んでいる市町村の基準がどうなっているか、しっかり確認しておきましょう。
また、住民税非課税世帯と言えば、今話題となっている「国民一律2万円給付」の政策案において追加で2万円の給付、合計で4万円の給付金を受け取れるとなっています。
この政策案が実際に実施されるかはまだ分かりませんが、自身が住民税非課税世帯の条件にあてはまるかはしっかり確認しておきましょう。
特に、年金生活を送る高齢者は住民税非課税世帯となりやすいため、自身の所得とお住まいの自治体の基準がいくらかは漏れがないようチェックしておきましょう。
参考資料
- 内閣府「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~」政策ファイル
- 総務省「個人住民税」
- 大阪市「個人市・府民税・森林環境税が課税されない方」
- 厚生労働省「令和5年 国民生活基礎調査」
鶴田 綾
