7. 老齢年金生活者支援給付金の支給要件「住民税非課税世帯」ってどんな世帯?
老齢年金生活者支援給付金の支給要件に含まれる「住民税非課税世帯」という区分は、さまざまな公的支援や給付金の対象判定基準として広く用いられています。
7.1 《住民税のキホン》均等割・所得割ともに支払い免除=「住民税非課税」
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税で、その地域の公共サービスやインフラ整備の財源となります。
個人住民税は、所得に応じて税額が決まる「所得割」、所得に関係なく一律課税となる「均等割」の合計です。
「住民税非課税」は、均等割・所得割どちらも免除となるケースです。そして世帯全員が住民税非課税となる世帯は「住民税非課税世帯」となります。
※なお「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もあります。
7.2 住民税が非課税となる要件は3つ
以下の3つのいずれかに該当する場合、住民税が非課税となります。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
- 前年の所得が各市町村の基準を下回る
上記の1と2は全国共通の要件ですが、3の所得要件については、自治体ごとに基準が異なります。
また、同じ所得基準であっても、扶養親族の人数、収入の種類、年金収入の場合は年齢などによって、非課税となるボーダーラインは変動します。
ご自身の世帯が住民税非課税世帯に該当するかどうか、または何らかの支援制度の対象となるかについて詳しく知りたい場合は、お住まいの市区町村の窓口にお問い合わせいただくことをお勧めします。
8. 給付金制度の未来は不透明?現役世代に求められる備え
ここまで、年金生活者支援給付金について詳しく見てきました。
昨今ではお米をはじめとする生活必需品の価格が上昇し、日常生活の負担が増す中、このような給付金は高齢者にとって大きな助けとなっています。該当する方は、忘れずに申請することをおすすめします。
ただし、このような給付金制度は、将来にわたって必ず継続されるとは限りません。社会保障制度は経済状況や国の財政によって見直される可能性があるため、現役世代の方にとっては、将来に備えた資産形成がますます重要になってきます。
最近では「新NISA」という言葉を耳にする機会も増えており、自助努力による資産運用に注目が集まっています。まずは、新NISA制度をはじめとする投資や老後資金に関する仕組みについて、自分自身でしっかり調べ、将来に向けた準備を始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内(令和6年度)」
- 総務省「個人住民税」
筒井 亮鳳