2. あなたはどのタイプ?遺族年金改正で変わる対象者と影響

今回の改正で、具体的にどのような影響があるのでしょうか。「新たな恩恵を受ける人」「見直しにより支給内容を確認すべき人」「影響を受けない人」それぞれ解説します。

2.1 ①「新たな恩恵を受ける人」

  • 妻を亡くした夫(20代~50代で子なし)

これまで遺族厚生年金を受け取れなかったケースが多かった男性が、新たに5年間の有期給付の対象となります 。これにより対象者は、厚生労働省の推計で年間約1万6千人となる見込みです 。

  • 5年間の有期給付の対象となる全ての人

新たに「有期給付加算」が上乗せされるため、5年有期給付の遺族厚生年金の額は現在の約1.3倍になります 。

  • 子どもがいる世帯

遺族基礎年金の子どもの加算額が増額されます(年額約23.5万円から約28万円へ) 。これは、すでに遺族年金を受給している方も対象となります 。

2.2 ②「見直しにより支給内容を確認すべき人」

  • 子のいない30代の女性

これまでは一生涯の給付対象でしたが、2028年度末時点で40歳未満の場合、施行直後から原則5年の有期給付の対象となります 。ただし、有期給付の額には、新たに設けられる「有期給付加算」が上乗せされるため、現行の制度と比較して年金額は増額される見込みです 。

  • 新たに中高齢寡婦加算の対象となる方

この加算は、妻を亡くした夫には同様の制度がなく男女差のある制度でした 。今回の改正で、2028年4月1日以降に新規に発生する加算額は、2035年度まで25年かけて段階的に縮小されます 。

※中高齢寡婦加算とは、夫と死別時に40歳以上65歳未満で子どものいない妻、または子どもが遺族基礎年金の支給を終了した時に40歳以上65歳未満である妻に対して、65歳になるまで遺族厚生年金に加算される制度です 。