2025年5月16日、総務省統計局より最新の「家計調査報告」が発表されました。
調査では、65歳以上の無職世帯における平均貯蓄額が2560万円に達し、前年より4.4%増加していることが明らかになりました。
この結果だけを見れば、シニアの経済的備えが進んでいるようにも見受けられます。
しかし、物価の上昇が続く現在、実際には多くの高齢者が将来の生活に対する不安を抱えているのが現状です。
本記事では、「65歳以上の世帯」の貯蓄実態について最新資料をもとに紹介します。
年金世帯の平均的な家計収支についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。
1. 【最新】65歳以上世帯の「平均貯蓄額(平均・中央値)」はいくら?
まずは、「年金のみで生活する世帯」に加え、「退職後も働いている高齢世帯」も含めた、二人以上・65歳以上の貯蓄額について、平均値と中央値の両方を確認してみましょう。
総務省統計局「家計調査報告 貯蓄・負債編 2024年(令和6年)平均結果の概要 (二人以上の世帯)」によると、二人以上世帯・65歳以上の貯蓄額は下記のとおりです。
- 平均値:2509万円
- 中央値:1658万円
平均額が2509万円と聞くと、かつて話題となった「老後2000万円問題」をクリアしている世帯が多いように感じられるかもしれません。
しかし、平均値は一部の高額な貯蓄を持つ世帯によって引き上げられやすいため、より実態に近い貯蓄額を知るためには、「中央値」も確認することが大切です。
65歳以上の二人以上世帯における貯蓄の中央値は1658万円で、平均額との差はおよそ1000万円にも上ります。
この開きの大きさからも、シニア世帯間での貯蓄格差が顕著であることがわかります。
では、「年金収入のみで暮らしている世帯」に限定した場合、貯蓄額にはどのような違いが見られるのでしょうか。
次章では、65歳以上の「無職世帯」を対象に、シニアの貯蓄状況をより詳しく掘り下げていきましょう。