3. 現役のうちから年金を増やす方法はある?

本章では、老後に受け取る年金受給額を増やすための方法について、「厚生年金に加入している人」と「国民年金のみ加入している人」とで紹介していきます。

3.1 厚生年金に加入している人がやっておきたい「年金を増やす方法」

会社員や公務員など、厚生年金に加入している人の場合、現役時に収入を増やすことで、将来の厚生年金の支給額も引き上げることが可能です。

厚生年金は収入に応じて保険料が決まっており、収入が高ければ高いほど、納める保険料も増えます。

そのため、現役時には負担が重く感じられることもありますが、結果として老後に受け取る年金が増えるというメリットがあります。

さらに、受給額は収入だけでなく「加入していた期間」にも左右されます。

厚生年金に長く加入しているほど、将来受け取れる金額も大きくなるため、働き方やキャリアプランを考える際は、年金への影響も踏まえて検討しておくとよいでしょう。

3.2 国民年金のみ加入している人がやっておきたい「年金を増やす方法」

厚生年金に加入しておらず、国民年金のみを納めている方は、まず保険料の納付状況を確認することが大切です。

国民年金は、納付した期間に応じて受給額が決まるため、未納期間があると満額を受け取ることができません。

さらに、保険料の納付期間が一定の基準を満たしていない場合、将来的に年金を受け取れないリスクもあるため、未納がある方は「追納」の検討をおすすめします。

加えて、将来の年金額を増やす手段として「付加保険料」や「国民年金基金」などの制度があります。※この2つは併用できません

どちらも、老後の生活を支える年金額を上乗せする仕組みとなっており、自営業者やフリーランスの方にとっては重要な選択となるでしょう。

3.3 老後までに検討しておきたい「年金を増やす方法」

最後に、現役世代の方が老後に備えて検討しておきたい年金の増やし方のひとつとして、「繰下げ受給」を紹介します。

繰下げ受給は、年金の受給開始時期を遅らせることで、受け取る年金の額を増やすことができる制度です。

通常、年金の受給は65歳から始まりますが、繰下げ受給を選択して受給開始を遅らせると、その分だけ毎月の受給額が増加します。

具体的には、繰り下げた期間(1か月あたり)に応じて0.7%ずつ増え、最大で84%まで受給額を上げることが可能であり、増額された金額は生涯にわたり変わりません。

もし年金額が「14万円」の場合、受給開始を75歳まで繰り下げると、毎月約11万7600円の増額となり、結果として「月額25万7600円」を受け取れるようになります。

繰下げ受給は国民年金・厚生年金のどちらにも適用可能で、片方だけ繰り下げることも選べます。

ただし、繰下げ期間中は年金の受給が停止されるほか、加給年金や振替加算が受け取れなくなる場合もあるため、メリットとデメリットをしっかり理解したうえで利用しましょう。