7. 【65歳以上】二人以上無職のシニア世帯「平均的な家計収支」を《年代別》でみる
老齢年金世代は、働く現役世代とは異なり「限られた年金収入」でやりくりしていく必要があります。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編2024年(令和6年)平均結果の概要」から、二人以上の「無職のシニア世帯」の標準的な家計収支を、世帯主の年齢階級別に見てみましょう。
7.1 「65歳以上全体」平均的な家計収支
- 実収入：26万6329円
- うち社会保障給付：21万1529円
- 非消費支出：3万3232円
- 消費支出：25万9295円
- 赤字額・赤字率：2万6198円（11.2％）
7.2 「65歳～69歳」平均的な1カ月あたりの家計収支
- 実収入：30万7741円
- うち社会保障給付：21万6915円
- 非消費支出：4万1405円
- 消費支出：31万1281円
- 赤字額・赤字率：4万4945円（16.9％）
7.3 「70歳～74歳」平均的な1カ月あたりの家計収支
- 実収入：27万5420円
- うち社会保障給付：21万7558円
- 非消費支出：3万4824円
- 消費支出：26万9015円
- 赤字額・赤字率：2万8419円（11.8％）
7.4 「75歳以上」平均的な1カ月あたりの家計収支
- 実収入：25万2506円
- うち社会保障給付：20万7623円
- 非消費支出：3万558円
- 消費支出：24万2840円
- 赤字額・赤字率：2万892円（9.4％）
実収入のうち「社会保障給付」は、主に公的年金です。
また「非消費支出」とは、税金や社会保険料など、原則として自由にならない支出を、消費支出は「いわゆる生活費」を指します。
生活費や赤字率は、年齢階級（5歳刻み）が上がるごとに小さくなっています。
ただし、医療費や介護費がかさんでいく可能性が高い点には留意が必要です。年金だけで足りない部分は貯蓄の取り崩しで対応する世帯もあるでしょう。
8. 老後生活のために「いくら準備しておけばよいのか」チェックしておきましょう
ここまで、60歳代～90歳以上のシニアが受給している《平均年金月額》や、65歳以上の無職二人以上世帯における「年代別の家計収支」について解説しました。
「国民年金だけ」を受給する場合と、「厚生年金も合わせて受給する」のとでは、受給額に大きな差が生じることがわかりました。
また「65歳以上の平均的な1カ月あたりの家計収支」を見てみると、毎月赤字が発生しています。
多くの方にとって年金を受給しながらの老後生活は、物価高の影響もあり、厳しい状況にあるようです。
今回ご紹介したのはあくまでの平均月額となっているため、ご自身の年金情報については日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認しておくとよいでしょう。
老後生活のためにいくら準備しておけばよいのか、家計や年金情報をもとに、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします ～年金額は前年度から 1.9％の引上げです～」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編2024年(令和6年)平均結果の概要」
筒井 亮鳳
