年金だけで生活することが難しい世帯もあるでしょう。
厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和7年6月分概数)の結果を公表します」によると、生活保護の全受給世帯のうち、高齢者が半数以上を占めています。
この記事では3種類ある年金生活者支援給付金のうち、「老齢年金生活者支援給付金」に焦点を当ててご紹介します。
どんな人が支給対象になるのか、請求方法についても解説しますので参考にしてください。
1. 【生活保護】高齢者が半数以上を占める
生活保護とは、病気や高齢など様々な事情で収入が減り、年金や貯蓄などあらゆる手段を使っても生活が困難になった場合に、国が定める最低限の生活費を保障する制度です。
このことから、暮らしを支える「最後のセーフティネット」と言われています。
なかでも、物価高を背景に年金や貯蓄だけでは生活が厳しく、暮らしに困難を抱える高齢者が増えています。
厚生労働省が2025年9月3日に公表した最新の調査結果から、生活保護と高齢者の現状について見ていきましょう。
厚生労働省が公表した最新の「生活保護の被保護者調査(令和7年6月分概数)」によると、2025年6月時点で生活保護を受けている人は全体で198万8497人(前年同月比2万1735人減)、総世帯数は164万5202世帯(同5443世帯減)と、受給者・世帯数ともに前年より減少しています(※保護停止中を含む)。
一方で、保護の申請件数は2万897件と、前年同月より797件増加しており、新たに支援を求める人が増えている状況もうかがえます。
- 被保護実人員数(※保護停止中を含む):198万8497人(前年同月比2万1735人減)
- 被保護実世帯数:164万5202世帯(前年同月比5443世帯減)
- 保護申請件数:2万897件(前年同月比797件増)
特に深刻なのは高齢者の状況です。
全受給世帯のうち、高齢者世帯は90万4538世帯にのぼり、全体の55.3%と半数以上を占めています。
この高齢者世帯数も前年同月比で4785世帯、前月比では1423世帯減少してはいるものの、依然として極めて高い割合であることに変わりありません。
- 高齢者世帯数:90万4538世帯
- 全体に占める割合:55.3%
- 前年同月比:4785世帯減(0.5%減)
- 前月比:1423世帯減
2. 「年金生活者支援給付金」とは?
「年金生活者支援給付金」は、基礎年金の受給者が一定の所得要件などを満たす場合、年金額に上乗せして受け取ることができる給付金です。
受給中の年金種類に応じて、それぞれの給付金が設けられています。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
すでに基礎年金を受給中の人が、所得が下がったことなどにより新たに「年金生活者支援給付金」の対象となった場合、例年9月の第1営業日(2025は年9月1日)以降順次、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が緑色の封筒で届きます。
※老齢年金を繰上げ受給中の人には、別の様式で届きます。
なお、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた場合、電子申請による請求書の提出も可能です。
スマートフォン(またはPC)とマイナンバーカードにより電子申請で提出した場合、郵送での提出は不要となります。
3. 【老齢年金生活者支援給付金】もらえるのはどんな人?
今回は3種類ある年金生活者支援給付金のうち、高齢者世帯の暮らしと関わりが深い「老齢年金生活者支援給付金」について、情報を整理していきます。
3.1 老齢年金生活者支援給付金【支給要件を見る】
以下の3つの要件をすべて満たす場合、老齢年金生活者支援給付金の支給対象となります。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下(※)である
なお、老齢年金生活者支援給付金の判定基準に、障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まれません。
※昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
4. 【老齢年金生活者支援給付金】2025年度の給付基準額は?
年金生活者支援給付金の金額は、物価変動率を踏まえ年度ごとに改定されるルールがあります。
これにより、2025年度分については、前年度から「+2.7%」となりました。
老齢年金生活者支援給付金:2025年度の給付基準額:5450円(月額)
老齢年金生活者支援給付金の実際の給付額は、月額5450円を基準額(2025年度)とし、保険料納付済期間等に応じて決定します。
なお、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、2024年3月における老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額(※)は4014円でした。
※2024年3月において認定されている平均給付金額
4.1 年金生活者支援給付金の支給日:原則「偶数月の15日」
「年金生活者支援給付金」は、年金と同じく年6回、偶数月の15日に支払われます(※15日が土日・祝日の場合は、その直前の平日に前倒し)。
年金とは別に、同じ口座に同じ日に振り込まれるため、通帳には2つの振込記録が記載されます。
原則として、各支払月にはその前月までの2カ月分がまとめて支払われます。
例えば、10月には8月・9月分、12月には10月・11月分、といった具合です。
5. 【国民年金・厚生年金】全体・男性・女性「平均年金月額」は?
公的年金の本体を、今のシニアはどの程度受給できているのでしょうか。
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金の平均年金月額を、男女全体・男女別に見ていきます。
5.1 国民年金・厚生年金の平均年金月額《全体・男女別》
平均月額は国民年金(老齢基礎年金)が5万円台、厚生年金(国民年金部分も含む)が14万円台です。
5.2 国民年金
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
5.3 厚生年金(※国民年金月額を含む)
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
現役時代の働き方・過ごし方による年金加入履歴の差が、グラフが示すように老後の年金額の男女差・個人差として反映されています。
6. 【老齢年金生活者支援給付金】請求手続きの方法は?
老齢年金生活者支援給付金は、支給対象となったら自動的に年金に上乗せされるものではありません。
公的年金本体と同様に「請求手続き」をおこなわないと、受け取ることができないお金です。
今回は、手続きフローを「これから65歳を迎え、老齢年金の受給がスタートする人」と「すでに老齢年金を受給している人」に分けて紹介しておきましょう。
6.1 これから65歳を迎え、老齢年金の受給がスタートする人
誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書とともに給付金請求書が郵送されます。
必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とともに最寄りの年金事務所に提出します。
6.2 すでに老齢年金を受給している人
冒頭でも触れたように、すでに老齢年金を受給中の人が、所得の低下などにより新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合、毎年9月の第1営業日(2025年は9月1日)から順次、年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届きます。
必要事項を記入し、郵便ポストに投函しましょう。
6.3 年金生活者支援給付金「要件満たせば、2年目以降は手続き不要で継続受給」
年金生活者支援給付金は、一度請求手続きをおこなえば「支給要件を満たす限り」2年目以降は手続き不要です。
前年の所得に基づいて継続支給の判定がおこなわれ、その結果が毎年10月分(12月支給分)から1年間反映されます。
給付額が改定された際には「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が、給付金の支給対象外となった場合には「年金生活者支援給付金不該当通知書」が郵送されます。
7. 支給要件を満たしている方は請求手続きを忘れずに行いましょう
ここまで「老齢年金生活者支援給付金」はどんな人が支給対象になるのか、請求方法についても解説しました。
また、国民年金と厚生年金の平均月額もご紹介しました。
生活保護を受給している方のうち、高齢者世帯は半数以上を占めています。
物価の上昇が続いており、年金のみで生活することは厳しい状況にあるようです。
年金生活者支援給付金は恒久的な支援制度なので、支給要件を満たしている限り、偶数月に年金に上乗せして継続的に支給されます。
ただし、請求手続きが必須となっていますので、注意が必要です。
年金生活の支えとなる制度ですので、支給要件を満たしている方は請求手続きを忘れずに行いましょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「個人の方の電子申請(年金生活者支援給付金請求書)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金を請求する方の手続き」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の振り込みはいつですか。」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和7年6月分概数)の結果を公表します」





