2. 老後の必要資金

「老後2000万円問題」が話題となり、老後に備えていくらくらい貯蓄が必要なのかについて関心が高まりました。

老後生活には2000万円必要との誤った認識が広がりましたが、必要資金は世帯ごとの収入(年金やその他の収入)や家計支出などによって異なります。

世帯ごとの必要資金を推計するときは、次の式で概算できます。毎月の支出が収入を上回ることが前提です。収入のほうが多ければ、事前の資金準備は不要です。

  • 老後の必要資金=毎月の赤字額(=支出-収入)×老後の生活期間(月)

前述の家計調査の平均値(2024年度の無職夫婦世帯)によると、毎月の赤字額は約3万4000円です。

赤字分を貯蓄で賄うとすると、現在65歳、老後の生活期間を20年・25年・30年とした場合、老後の必要資金は次の通りです。

  • 生活期間20年:3万4000円×240ヶ月=816万円
  • 生活期間25年:3万4000円×300ヶ月=1020万円
  • 生活期間30年:3万4000円×360ヶ月=1224万円

家の改修や車の買い替え、葬儀など個々のライフイベントに要する費用を加算すると老後の必要資金がより明確になるでしょう。

また、病気や介護に備える費用を加算したり保険などで準備したりすると、より安心かもしれません。

家計調査の平均値を例にとると、上記の必要資金が準備できれば一応安心、準備できなければ対策が必要、となります。

老後までに必要資金が準備できなければ、仕事をして収入を増やしたり、節約して支出を抑えるなどの対策を考えましょう。