梅雨の季節は、雨や路面の影響で自転車の運転にも注意したい時期ですね。

そんな中、最近問題視されているのが、飲酒による自転車事故の増加です。統計では、ある年代に事故が集中する傾向も見られます。2024年11月からは「酒気帯び運転」にも新たに罰則が科されるなどルールが厳しくなりました。

今回は自転車運転の飲酒事故の実態と、いざという時の《身を守る備え》として、自転車保険の基本補償について解説します。

1. 「少しの飲酒」でも重大な事故につながる【自転車の運転】

飲酒運転による自転車の重大事故は、どれくらい起きているのでしょうか?

まずは、警察庁交通局が令和7年2月27日に発表した「令和6年における交通事故の発生状況について」、ここ数年の飲酒運転による自転車事故の件数をみてみましょう。

※「飲酒運転」とは、運転者の飲酒状況が酒酔い・酒気帯び・基準以下・検知不能(アルコールが検出されなかったが、飲酒の事実が確認された場合)のいずれかに該当するものをいいます。

【令和6年】飲酒運転自転車関連死亡・重傷事故件数の推移(第1・第2当事者)

【令和6年】飲酒運転自転車関連死亡・重傷事故件数の推移(第1・第2当事者)

出所:警察庁交通局「令和6年における交通事故の発生状況について」

【令和6年】飲酒運転自転車関連死亡・重傷事故件数「飲酒状況の内訳」

※( )内の数字は死亡事故件数

  • 酒酔い:7件(5件)
  • 酒気帯び:42件(22件)
  • 基準以下、検知不能:49件(7件)

ここ数年の飲酒運転による自転車事故の件数について、注目すべきポイントを2つにしぼって解説します。

1.1 ポイント①令和6年も依然として高水準。令和3年の一時的な減少以外はほぼ横ばい

飲酒運転による自転車事故は、令和3年(コロナ禍による外出・飲酒機会の減少)を除き、近年は毎年100件前後で推移しています。令和6年も98件発生し、うち34件が死亡事故と依然として深刻な状況です。

1.2 ポイント②「基準以下・検知不能」の少しの飲酒でも状態でも事故が多数

自転車の「酒気帯び運転」の死亡事故は22件と最多です。さらに、「基準以下・検知不能」の事故49件のうち死亡事故は7件も起きています。「少しの飲酒」でも重大事故につながることがわかりますね。

また、飲酒運転によって命に関わる重大な事故を起こす人はどの年代に多いのでしょうか?

年齢層別飲酒運転自転車関連死亡・重傷事故件数(第1・第2当事者)【令和2年~6年合計】

年齢層別飲酒運転自転車関連死亡・重傷事故件数(第1・第2当事者)【令和2年~6年合計】

出所:警察庁交通局「令和6年における交通事故の発生状況について」

飲酒運転による自転車の死亡・重傷事故は、50歳代が最多で全体の21.1%を占めています。さらに、50歳以上を合計すると全体の60.3%を占めており、高齢層ほどリスクが高まっていることがわかります。