1.1 【離婚分割】5年間平均で分割を受けた側は月3万円以上増えている
相手に分割する側が第1号改定者、分割を受ける側が第2号改定者といいます。この分割する側(第1号改定者)ともらう方である分割される側(第2号改定者)では、年金分割した後に平均年金月額はどのくらい変わるのでしょうか?
受給権者の分割改定前後の平均年金月額等の推移をみていきましょう。
令和5年度でみてみると、分割する側(第1号改定者)は年金月額が平均で3万1486円減っているのがわかります。これに対して、もらう方である分割される側(第2号改定者)は年金分割後に年金月額が平均で3万3102円増えているのがわかりますね。分割する側・される側では平均して3万円も年金月額が変わってきます。これは、老後の家計に与える影響は非常に大きいですね。
1.2 3号分割の利用状況
次に、夫の扶養に入っている専業主婦など国民年金第3号被保険者が請求できる「3号分割」した後に、平均年金月額はどのくらい変わるのでしょうか?
受給権者の分割改定前後の平均年金月額等の推移をみていきましょう。
年金分割をする側=主に会社員などの夫である男性と、分割される側=主に専業主婦などの女性という構図が圧倒的に多いために、3号分割では「男子と女子」で平均年金月額の推移を表しています。
令和5年度でみてみると、分割する側(男子)は年金月額が平均で7071円減っているのがわかります。これに対して、もらう方である分割される側(女子)は年金分割後に年金月額が平均で7779円増えているのがわかりますね。
3号分割は、分割対象期間が平成20年4月1日以降の婚姻期間と限定されていることもあり、離婚分割の推移よりも変動差が少ないことがわかります。
以上のように年金分割を行うことで、実際に数千円から数万円単位で年金額が変わるケースがあることがわかります。制度の仕組みを理解し、状況に応じて適切に活用すれば、離婚後の老後資金に大きな違いを生む可能性もあります。
では、この年金分割制度とはどのような制度で、どんな種類があるのでしょうか。ここからは「合意分割」と「3号分割」の違いや特徴について詳しく見ていきましょう。