「アラフォー・クライシス」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか? 昨年暮れにNHKの「クローズアップ現代」が取りあげたことで注目されるようになったものです。これは、アラフォーと呼ばれる30代後半~40代の世代が就職氷河期のため新卒で正社員に就けず、その後リカバリーができないまま貧困に陥ってしまうケースが少なくないという現実を表しています。
では、そんな40代にはどのくらい貯蓄があり、どの程度の負債を抱えているのでしょうか。今回は2つの調査データを見てみました。
世帯当たり金融資産の中央値はどのくらい?
まず、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成29年)」を見てみます。すると、金融資産を保有する世帯の年齢別の中央値は以下のようになっています。
なお、中央値とはデータを大きさ順に並べたときに全体の中央に位置する値のことであり、「金融資産」には預貯金以外にも保険や有価証券、その他金融商品が含まれています。また、「貯蓄」も同様に、預貯金のほかに株式や投資信託といった有価証券が含まれます。
年齢別金融資産保有世帯の金融資産の中央値(カッコ内は平均値)
20代の中央値 300万円(524万円)
30代の中央値 420万円(735万円)
40代の中央値 650万円(1014万円)
50代の中央値 1100万円(1689万円)
60代の中央値 1400万円(2062万円)
70代の中央値 1500万円(2512万円)
こうしてみると、40代と50代の間に大きなギャップがあることがわかります。40代は子育てや住宅ローンなどで出費が多く、子どもの手が離れる50代は老後に向けて貯蓄をふやしていく時期ということが関係している可能性もありますが、先述のアラフォー・クライシスの影響もあるのかもしれません。
では、金融資産を保有しない世帯を含む場合、中央値はどう変化するのでしょうか。ちなみに、金融資産非保有の割合は20代で35.6%、30代と40代はそれぞれ33.7%、50代でも31.8%と、各世代ともに金融資産を保有していない世帯の比率は3割を超えています。
年齢別金融資産を保有していない世帯を含む金融資産の中央値(カッコ内は平均値)
20代の中央値 77万円(321万円)
30代の中央値 200万円(470万円)
40代の中央値 220万円(643万円)
50代の中央値 400万円(1113万円)
60代の中央値 601万円(1411万円)
70代の中央値 600万円(1768万円)
ここでは、30代から40代にかけての中央値がわずかしか上昇していないことが目を引きます。また、40代と50代の間、50代と60代の間も水が開いていることがわかります。