2018年11月30日に行われた、セガサミーホールディングス株式会社2019年3月期マネジメントミーティングの内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:セガサミーホールディングス株式会社 代表取締役会長グループCEO 里見治 氏
セガサミーホールディングス株式会社 代表取締役社長グループCOO 里見治紀 氏

市場環境(パチスロ・パチンコ)

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里見治紀氏(以下、里見治紀):それでは、さっそく始めたいと思います。

まず、遊技機事業からです。前半は、だいたいいつもの決算説明会で話している内容とかなりカブるのですが、一つひとつ若干の深掘りをしていきたいなと思っておりますので、よろしくお願いします。

まずは、市場の回転率です。やはり、ここが上がってきていない。とくに下がってきているのが、遊技機事業のメーカーとしての大きな問題点ではございます。ただ、ここをもうちょっと深掘りして見てみますと、規則改正がこなれてきたときに上がってきたことは、過去の歴史の中でいくつもあるんです。もしくは、ヒット作が出たとき。

市場環境:前回の規則改正時(パチスロ)

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とくに、パチスロでは2007年に4号機から5号機に変わったとき。1.07回転/年から0.57回転/年まで、急激に下がった。これは、4号機から5号機の(変更の)ときは、我々メーカーとしてもかなり悲壮的で「本当に将来、5号機になるのか……」と暗いところで、圧倒的にパフォーマンスが良かった4号機がしばらく残るという中で、5号機の需要がぜんぜんなかったために(回転率が)ガッと下がったんです。

ここで何度もご紹介している、(2009年に)我々が出した「パチスロ交響詩篇エウレカセブン」が、5号機初の大きなヒットになりました。そして、稼働を呼んでファンも呼び戻して……ということをきっかけに「5号機でも商売ができる」というかたちで、購買意欲が高まって回転率が上がっていきました。

規則改正等もあり、回転数が過去最低レベルに下がっているのが現状ではあるのですが、我々としては、2019年・2020年と上げていけるのではないかと、今は見込んでいるところでございます。

市場環境:前回の規則改正時(パチンコ)

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パチンコに関しても(パチスロと)同様で、右肩下がりではあるものの、2004年の規則改正のときには回転率が上がったという状況がございました。

市場環境:自主規制の変更

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その後の規制に関しては、パチンコに対してはどんどん厳しくなるばかりだったのですが、今回、継続率の自主規制が撤廃されました。

これはわかりやすく言うと、「北斗無双1」(の大当たり確率)が319分の1になったタイミングで、「まだ高継続でも良いよ」と言っていた時期の最後に出た機械です。なので、歴史に残るような大ヒットおよび高稼働を実現しています。

直近で出した「北斗無双2」は(大当たり確率が)319分の1ではあるものの、(継続率の)65パーセント規制があった後だったということで、ゲーム性がだいぶ変わってしまって、稼働が「北斗無双1」に比べると良くないというところだったのですが、過去の我々のヒット機種の中では高継続機が多かったので、また極端な話、「北斗無双1」と似たようなものが作れるというところで、「メーカーとしての開発の幅が広がった」ということでございます。

パチスロに関しても毎回言っているとおり、純増枚数(制限)が撤廃されたということです。もちろん、出玉が3,000枚から2,400枚に抑えられたことで、ネガティブな意見もあったのですが、「3,000枚出る」と言っていた時点でも2,400枚以上のプラスになることは、そんなに多くなかったんです。

6号機では2,400枚が短時間で達成できるので、例えば今発売している「蒼天の拳」の機種の純増は最大6枚ですが、本当に引きが良ければ、1時間でそれが達成できちゃう。昔は2時間~3時間をかけて取り切るみたいな話だったので、やっぱり時間がかかると思われていたのが(規制変更によって)短時間でも遊べるようになるのが、今回の規制改正の一番大きな(影響で)、メーカーとして言えば、我々としては遊技の幅が広がる、いろいろな演出が提供できるというところで、プラスに捉えているということでございます。

サミーの強み(IP)

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今までサミーは、これらの機種で実績を残してきています。

サミーの強み(開発力)

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次のページは、開発チームも業界トップである(ということです)。

これだけの純粋な開発人員を抱えています。開発の中にある間接部門などを含まないプログラマー・デザイナー・企画者を中心とした開発人員は、国内の我々の業界では最大のラインナップ数を誇っておりますので、規則改正に則った機種を、今開発中であります。

適合率が低いことが、非常に問題になっております。我々としても、もちろん「このようなところがダメなんだ」というところがもっと明らかになれば、適合率を上げていけると思っておりますが、業界としてもここは大きな課題として捉えておりますので、改善の方向に向かうんだろうと思いますが、今はそれを行っているところでございます。

もちろん我々の生産能力に関しても、業界トップレベルのシェアを持っております。パチンコでは最大日産5,000台、パチスロでは最大3,500台の日産が可能という生産能力を持っておりますので、部品が揃えばですが、大きなヒット機種が出れば最大出力で追加販売を行える体制が、今は整ってございます。

ZEEG(ビジネスモデル概要)

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そして、ZEEGです。

これは何度もお話ししていますが、ユニバーサル(エンターテインメント)さんとサミーで、共通の部材調達を行っています。すでにその他のメーカーさんといろいろなお話が進んでおりまして、外販も行っていきます。来年(2020年3月期)は「Road To 2020」の最終年度でありますが、このリユース率が年々高まってきております。

ZEEG(モデルバリエーション)

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今ZEEGでは、ファイブバリエーションを用意しております。

一見すると、ユニバーサルもサミーも同じ筐体を使っている。もしくは、第三者から同じものを使っているのがわからないようにして、中側がだいぶ共通化されている。この5つの中から、機種に応じて選んで作っていくことを行っております。

BtoC施策の実施

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BtoC施策に関しましても、引き続きこちらは、ファンをどうやって呼び戻していくのか。広告規制が厳しくございますので、逆にメーカーとしてできることのほうが多いです。

これも先週の日曜日(2018年11月25日)ですが、「ユニバーサルカーニバル」と「サミ―フェスティバル」を同時に開催いたしまして、1万6,000人を超えるファンの方に来ていただきました。

やっぱりそれだけ、まだまだ熱量が高いファンがいらっしゃる市場でございます。とくに6号機は、4号機から5号機になるタイミングで離れていったお客さんは多いので、今一度やっぱり6号機の出玉速度は4号機並みのものがありますので、そのときの感覚で遊びたいお客さんをいかに呼び戻すかが、我々にとっても大きな課題であるし、良い伸び代でもあるかなと思っております。

ここで、「ユニバーサルカーニバル×サミーフェスティバル2018」で発表したコンセプト機……これは、実際に店頭に並ぶことはないと思うのですが、「将来メダルレスのパチスロになったら、こんなこともできる」というコンセプト機の映像を見ていただこうと思っています。

(コンセプト機の映像が流れる)

里見治紀:メダルを補給して貯めたり払い出したりというホッパーがいらなくなるので、下(のスペース)が空くということで、あえてああいう斬新なものにしています。

パチンコを含めた管理遊技機等について、今業界で議論されていますが、そのメリット・デメリットを勘案しながら、これからいろいろな機械が出ていくだろうと考えています。

アミューズメント施設市場規模推移

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それでは、エンタテインメントコンテンツ事業に移りたいと思いますが、まずはアミューズメント機器事業でございます。

こちらは何度も言っているとおり、2014年を底に20年ぐらいずっと右肩下がりであった状態が、今はプラスに転じてきている。2018年もプラス基調で、5年連続プラス基調できているところであります。

その主因は、プライズが今は非常に好調(であることです)。我々のUFOキャッチャー自体も売れますし、プライズの景品も非常に各社好調に推移していますのと、やはり一部の風適法が改正になって、18時以降でも16歳以下のお子さまが、親が同伴であれば入れる。

昔は、18時になったら子どもたちを追い出さなければいけなかったのですが、そのようなことがなくなったというところ。とくにショッピングセンターに入っている店舗は、ちょうど夕飯時にはお店で並んでいますから、名前を書いて並ぶ間にゲームセンターで遊びに行くという需要も掘り起こせている。

そのタイミングで、セガから「艦これアーケード」というヒット作が出て、当時は2時間待ちなどもありましたが、待っている間にシャワー効果で他のゲームを遊んでもらえる、もしくは新しいお客さんを呼び込むということもあって、プラスに転じてきているということでございます。

施設事業の拡大

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実際、我々のゲームセンターの施設も非常に好調に推移して、昨対ずっとプラスできている。昨対プラスということは複利みたいなものですから、分母が上がり、さらにそこからまたプラスになっているということでございます。

(会場投影資料を指して)同業他社との比較でもセガの施設は、昨対ベースでトップクラスの成績を残している。2018年がへこんだのは、単純に2016・2017年のところでだいぶよかったところの分母からやっているから(その影響で)低いのですが、額で言うとトップでプラスです。トップレベルの運営を、今できている。

その主因は、やはりラインナップだと思っています。選定です。かなりプライズに力を入れて、「UFOキャッチャーを増台した」というのを、同業他社より早めに動いたのも大きかったと思います。

他社との協業を促進

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また、これは本当は消費税対策のためにもともと動いていた(取り組みでした)。内税ですので、今は「108円入れてくれ」とは言っていないんです。これが来年(2019年)に、また2パーセント上がってきても「110円入れてくれ」とは言えないのですが、将来的にはそのようなことができるような対応を、電子マネー・キャッシュレス化によって(進めたり)、または時間で(対応します)。

「平日の昼間は、75円でいいです。でも、週末の昼間は120円払ってください」みたいなことを、将来やろうと思えばできるということで、対応するためにやっています。これを、ユーザーフレンドリーに業界1つの通貨、方法論でやっていきたいということで、コナミさん・バンダイナムコさんとも組んで、このあたりの電子化・マネーカード等の仕様統一も実現してきています。

外部IPの活用

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外部IPの活用が、アーケード業界でも積極的に行えるようになってきています。

先ほど言った『艦隊これくしょん』(の「艦これアーケード」)、そして『Fate/Grand Order』(の「Fate/Grand Order Arcade」)です。今スマホでもトップクラスに人気のあるゲームのアーケード版ということですが、これもまた新しい客層をゲームセンターに呼び込むことに成功している。

また、まだ発表していないのですが、次のIPものもすでに仕込んでいます。

製品クオリティの向上・維持

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パッケージゲームに関してですが、まず私がセガの社長になってから一番最初にやったのは、「ゲームのクオリティを上げろ」という指示です。

過去、『ソニック』のひどいゲームが出たので……(海外のレビュー集積サイトの)Metacriticで、100点中35点みたいなゲームが出て、当時私は社長ではなかったのですが、「こんなゲーム、売らないか延期したほうがいい」と言いました。

「こんなことをやっていたら、ファンの期待を裏切るぞ」というインタビューを『ファミ通』でさせていただいたら、すぐ英訳されて海外のメディアにバッと流れて、「セガの社長CEOが、自分たちのミスを認めた」みたいな記事になったのですが。

逆にそれは、ファンにとって期待度を高めることになって、それで出した『Sonic Mania』が、クオリティも80点後半を取れて、セールスも非常によかったということで、ファンの期待をもう一度裏切らずにしっかり応えていけたことで、大きなセールスにつながっています。

パブリッシャーランキングも、Metacriticのサイトに毎年出ていますが、その中でもセガはいつもトップクラスになっています。実績としてもこれだけ変わってきていて、直近の『Football Manager 2019』も86点で、直近出したタイトルも軒並み80点台を取れているということでございます。

ラインナップの拡充

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そして何と言っても、我々はSteamとの取り組みが非常にうまくいっていまして、販売本数もすでに249本になっている。これが、我々の言うロングテールビジネスを実現しているところです。

今までの(パッケージゲームの)棚の商売ですと、1年間に5本しか売れないみたいなゲームは、棚から外されてしまっていたんです。それがデジタルになったことによって、カタログタイトルが「1年に5本しか売れないかもしれないが、でも買うチャンスがある」ということをお客さんに提供できているのが、大きな収益につながっています。

ご存じのとおり、テンセントが同様のサービスをこれから中国で始めています。例のライセンス許可の問題はありますが、我々のタイトルはいくつかすでに、『Valkyria』を含めて配信をしており(ほかにも)ゲームができていますので、引き続きそこは拡大していこうと思っています。中国はリスクをとらずに、しっかりビジネスしていきたい。

過去タイトルの配信(例)

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ここは、もう1つのロングテールの見方ですが、昔出したタイトルがしっかりまだまだ売れていっているところで、この『Total War』シリーズの積み上げにつながっています。

販売長期化、利益底上げ施策(例)

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ただ置いておけばいいのか、ストアに配信して置いておけばいいのかということは(どう判断するかというと)ここがセガのノウハウでありまして、『Total War Warhammer』という海外とのコラボタイトルですが、一番左が本作です。

「本編発売しました」というのがあると(販売本数が)上がりました。その次に、追加コンテンツを(定期的に)配信していくことによって、パッケージゲーム的な売り切りモデルなのですが、ライブ運営のようなファンをずっと離さない。各ウィンタープロモーションなり、いろいろなプロモーションを、専任者が常に張り付いてやっている。

日系の会社で、ここまでやれている会社はない。このようなことをやっているからロングテールがさらに長びく性質の強いところが、実は大きな底上げ要因になっています。

他社タイトル・ライセンスインタイトルの販売

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また、国内のパッケージゲームのことですが、実はセガは、流通としてトップクラスな成績を修めています。

極端な話、セガのゲームよりも他社のゲームを売っている年もあったぐらいで、セガのゲームがまだまだ売れていないときは、他社のゲームで食いつないでいた。

EAさんを含め、海外のパートナー・日本のパートナーさんのタイトルを、日本で流通を(して)我々は販売をしている。アジアの自社流通を去年(2017年)から始めて、非常に今、成績が伸びているところでございます。

今までアジアや日本で培った何十社というパートナーさんの中で、「アジアで売りたい」という人がいれば、その配信を手伝っている。EAさんなりアクティビジョンなり、日系も含めてやっています。

ちょっとわかりにくいかもしれないのですが、店作りをやっているんです。ただ、例えばポップと言われるポスターとか、キャラクターが立つものとか、いろいろなものを店にがんがん送って、「装飾してくださいよ」とやるのですが、送っただけではやってくれない店も多いんです。

日本では「フィールドクルー」と言われる、三十数名の現場を練り歩く部隊が、外部提携パートナーにいます。そうすると、セガの営業マンが店に行って、装飾を手伝っているんです。セガやパートナーのタイトルが目立つように、我々が流通しているお客さんのタイトルが目立つように、棚をきれいに並べ直す。実はやっぱり、そこのノウハウが大きくて。このノウハウをアジアに持ち込んで、今まで以上にタイトルが売れるということを、やっているところでございます。

国内ダウンロード販売比率のトレンド

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これはそれとは逆ですが、デジタルダウンロードの販売は順調に伸びてきているところです。

今期は、国内パッケージゲームの30パーセントくらいがデジタル(ダウンロード)で売れるものが出てきていると(いうことです)。これは(なぜかと言うと)前から言っているとおり、同じ7,000円で売るにしても、うちの取り分がデジタルダウンロードのほうが(パッケージゲームより)高いですので、利益の積み上げ要因になっていると(いうことです)。

ただ、デジタルが100パーセントになるというのは、もうしばらくかかると思いますので、先ほど言った我々の店頭のノウハウ・流通のノウハウが、まだまだ差別化要因として、競争優位にあると考えています。

各四半期売上TOP3推移(デジタルゲーム)

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ただ一番の課題は、みなさんもご心配しているデジタルゲームのところでして。

やっぱり、新陳代謝が進んでいないと(いうことです)。これは各タイトルの四半期での売上ランキングですが、ここ3年ずっと『ファンターシースターオンライン2』。これはPCオンラインの売上がメインであるものの、PS4・モバイルと合わせた数字ですが、タイトルで言うと1位だと(いうことです)。

それで2位が、ずっと『ぷよぷよ!!クエスト』ないし『チェインクロニクル』だったのですが、『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』が出てきています。やっとここにきて、『D×2 真・女神転生 リベレーション』だったり『プロサッカークラブをつくろう! ロード・トゥ・ワールド』だったり『BORDER BREAK』という新作が、まだ1位にはなれていないのですが、2位になってきているというところでございます。

ここで、「セガ内ランキングでは、1位・2位はどんどん新作で埋まっていかなければいけない」というのが課題です。

新作投入の遅延

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そして次の課題が、やっぱりタイトルの遅延です。

具体的なタイトル名は伏せていますが、やっぱり予定から半年、ものによっては1年以上、計画から遅れているタイトルがある。

これは(なぜかと言うと)オンラインゲームですので、細部の作り込みに時間がかかったり、開発途中で出た他社タイトル等が売れたりした際に「じゃあ、その売れたタイトルの要因はなんだ?」「それをどう(開発中タイトルに)取り込むんだ?」みたいなこともあるので、なかなかきちっとスケジュールどおりに作るのが難しいところは、同業他社さんを見ても(事実として)あるのですが。

やはりこのあたりで、もう一度精度を上げていくことも、組織変更の理由の大きなものの1つでございます。

海外売上比率推移(デジタルゲーム)

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また、海外売上比率が思ったより伸びてきていないところがございます。

パッケージゲームに関しては、かなり海外売上比率が上がってきているのですが、デジタルゲームで、日本国以外でどう稼いでいくかというのは大きな課題です。

セガゲームス組織再編(要約)

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それを明日(すぐ)には解決しないのですが、まずその一手として(組織再編を行いました)。

今までは、デバイスごとの組織にしていました。その最大の理由は、セガネットワークスを一度分社化したときもそうですが、単純にイノベーションのジレンマに陥ったので、そこを直すためにやったのですが。

単純に、「龍が如くスタジオ」に「スマホでゲームを作れ」と言っても、作れなかったんです。『ソニック』のチームに「スマホでゲームを作れ」と言っても、なかなか作れない。「だったら、特化したチームでやりましょう」というのを、ここ何年かやってきました。

今は、各スタジオにそれなりのノウハウが付いてきているとか、もしくは協業でできる体制が整ってきましたので、今一度IPを中心に据えた組織に変えよう。それで、プロデューサーの意識も変えていこうと(いうことです)。

今まで、我々には「ディレクター」「プロデューサー」等がいました。ディレクターは、ゲームを1本作る人。プロデューサーは、その上に立ってディレクターを何人か束ねて、ゲーム3本・4本統括する人みたいな立ち位置になっているんです。それって、本当の意味のプロデューサーではないだろう。映画業界で言うプロデューサーや、バンダイナムコさんで言うプロデューサーと、ちょっと違うんじゃないのと(いうことです)。

「プロデューサー」とは、そのタイトルの開発においては、要はクオリティのコントロールはディレクターが一番責任を持ちますが、じゃあマーケティングを見たり、P/Lの責任を負ったりとか、そのIPをどうやって太らせていくのかという責任を持つのが、本当の意味での「プロデューサー」です。会社の出世レベルの階段の「ディレクターの次」というのとは、違うんじゃないのと(考えました)。この概念を、大きく変えました。

つまり、『龍が如く』というゲームのプロデューサーだったら、それをどうやって(IPの価値を)最大化して、まずゲームを売るのか。売るために、どのような施策を打っていくのか。マーケティングを打つのか、マーチャンダイジングするのか、映画を作るのか。そして、どうやって海外で売っていくというの(を考えて施策を打つの)も、プロデューサーの責任ですよねと(いうことです)。

「『A』というIPを、どうやってグローバルで最大化するかを考えなさい」という組織に変えていっています。

IP軸戦略の進化

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それに伴って、社内の管理会計もマトリックスに変えました。

今まではセガの悪い癖で、「お客さんから100」という売上が立ってきました。それを、どの部門がどれだけ取るかという取り分で、すごく争うんです。アメリカが「100のうち、30よこせ」。ヨーロッパが「30よこせ」。一方で、国内でも「開発は何割だ」とか。端っこにライセンスの部門が入ってくると、「ライセンスにも、いくらよこせ」とか。

もう「100をみんなでいくつで割るか?」というのに、一生懸命ものすごく労力を使うという(ことで)、この方法をすごく問題視していたのですが。ただこれを、なかなか経理がOKしてくれなかったのですが、やっと経理部門とも合意ができて、「マトリックスでやればいいじゃん」(ということになりました)。

例えば、『龍が如く』を売りました。開発としては、横軸では全世界で伸びているので100です。縦軸で見ると、地域です。じゃあ、国内で売った『龍が如く』の売上が全部「国内」に付いて、アジアで売ったものは全部「アジア」に付くというところです。

各地域の売上最大化を彼らは目指すし、横軸のIPオーナーたちは、IPのグローバルでの数字……売上最大化を目指すというところです。「社内での取り分で争っている場合じゃないだろう」という、大きな組織変更をしています。

龍が如くスタジオの例

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これは『龍が如く』の例です。

もともと『龍が如く』というナンバリングタイトルが、1から6までありました。これが、次の新章として、また……これはまだ決めていませんが、『新・龍が如く』になるのか『龍が如く7』になるのかは別ですが、新しい発展を(しようということで)『龍が如く』シリーズのメインストーリー自体を変えようと思っていますが、主人公が変わるということですので。

スピンオフとしては『クロヒョウ 龍が如く 新章』があったり、『龍が如く OF THE END』というゾンビもののシューティングがあったり。同じエンジンを使って、他社のIPを持ってきた『北斗が如く』ですとか、同じエンジンを使って、まったく新しいゲームとして木村拓哉さんを招聘して、『JUDGE EYES:死神の遺言』だとか。

また、スマホのゲーム(『龍が如く ONLINE』)。これは、オンラインのチームと「龍が如くスタジオ」共同で立ち上げて、先週(2018年11月21日)配信しました。今のところ、かなり我々の想定の上へ推移してきているというところです。

そして、それを海外でも展開して伸びている。海外も今まで以上に、欧米・アジアで売れている展開ができていますので、これをさらに遊技機だったり、映画だったり、舞台や関連グッズというかたちでいかに(IPを)太らせていくのかを、今はどんどんやっているところでございます。

コンテンツのマルチ展開

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今まではデバイスごとでやっていたのを、各地域・世界中にどう届けていくか、マルチに展開していくかというのを、プロデューサーがどうやって、そのような視点を持つのか。それが(プロデューサーに)できないのであれば、各地域のプロ、そしてライセンスのプロとかと協力してやっていこうという体制が、今できてきていると(いうことです)。

後ほどご説明しますが、サミーとセガのライセンス部門も統合いたしました。(例えば)いちプロデューサーが「アニメを作りたい」と言った時に、1個1個自分のツテでアニメ会社を訪ねていく時間に対して、すごく労力がかかると(いう点がありました)。

それを、うちのライセンスに相談すれば、常にいろいろなアニメスタジオと付き合っていますし投資もしていますので、「どこのスタジオは、どのようなことが得意」で、「どのようなラインが今空いている、空いていない、いつ空く」というのを把握していますので、私たちはすぐアニメの話ができる(ということです)。

マーチャンダイジングにしても、ライセンス部門が何十・何百というベンダーさんとお付き合いがありますので、パッとライセンシーミーティングを開けば、あとから(結果が)ついてきて、いろいろなグッズ展開ができるということを行って、今準備をしているところでございます。

リゾート事業

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それでは、リゾート事業に移りたいと思います。最初にちょっとビデオをご覧ください。

(映像が流れる)

里見治紀:これはIR学会だったりですとか、この間の日経のカンファレンスで流したりした映像でございます。やはり我々が一番ユニークなのは、サンズ、MGM、ウィン、メルコクラウンなどのような海外オペレーターさんがプレゼンしている中で、日本企業として唯一、その場に立てているということです。

カジノ事業運営に向けて

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日系の企業として、カジノIR事業に責任と覚悟を持って取り組んでいるというのが、我々が日本の中における一番の差別化(できる点)なのかなと思っております。

すでに何度もご説明しているとおり、60名を超えるスタッフが現地に行って、カジノだけではなくて、統合型リゾートの開発から運営まで関わっていると(いうことです)。

近い将来には100人まで増えていきますし、2025年なのか2026年なのか(わかりませんが)日本でIRが開くタイミングには、総勢(を増やして)もっと意欲を持った人財がだいぶ貯まっていくと見据えて準備をしているところでございます。

IR施設全体の運営ができる人財の育成

そして、もともとリーダーで(現地に)送っている者は多かったのですが、今や経営からホテル、商業施設の開発、運営などすべての組織内に我々の人財が配置されて、実際に統合型リゾートの運営に関わっていると(いうことです)。

ここまで深く日本人の社員が関わっているというのも、(ほかの)日本企業ではもちろんないので、我々にとっての差別化の1つの要因だと思います。

カジノ・バリューチェーン

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これは(カジノ・バリューチェーンのご説明でございますが)「どのようなノウハウが必要なのか?」「自社で(対応)できるのか?」「他のパートナーを使ってできるのか?」というのは、常に研究しております。

カジノオペレーションの習得

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現在118項目の要因分析をしておりまして、2024年にはすべてのノウハウを溜めていけるであろうと思っております。中には「セガサミーとして差別化できるカジノオペレーションができるね」という項目もあり、今は、ここまで検討が進んでいるところでございます。

世界最高水準カジノ規制・クリーンなカジノ事業運営

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これは何度もご紹介しているとおり、ネバダ州のゲーミングライセンスを取ったというとこころで(カジノ事業運営に)清廉性が確保されていると(いうことです)。

日本の会社の社長の方で、自分の全財産をさらけ出して、家族の財産までを全部出してやるという覚悟を持っている人が、どれだけいるのか。

ある一定以上の出資をしたら、たぶん日本も同じスクリーンテストをやるのですが、その(テストを受ける)覚悟がある日本人はどこまでいるのか。我々はすでに(テストが)済んでいますので、いくらでも準備をしているというところでございます。

京都大学 こころの未来研究センター産学共同研究

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また(ギャンブル)依存症対策におきましても、リカバリーに力を入れているところが多いのですが、我々は予防です。「いかに防ぐか」という研究は、実は日本はまだまだ遅れておりまして(当社は)ここを京都大学と一緒にやっているというところでございます。

今後のスケジュールですが、オペレーターを選ぶというコンペがかなり早く進むんだろうなという気配が出ております。

様々な事業会社の文化を融合し「セガサミーグループ」の文化を醸成

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最後に、セガサミーの取り組みについてです。ここまでは決算説明会でよく話している内容の深掘りでしたが、ふだんできない話をしたいなと思っております。

まずは、ロゴを変えたということは何度もお話ししているとおりですが、なぜ変えたのかといいますと、企業文化を変えていこうと思ったからです。

オフィス統合もその1つですが、今まではサミーという文化があって、セガという文化があって……しかし、その上に「セガサミー」という文化がなかったのです。

社内では「汐留」という隠語が使われていたのですが、率直に言うと社内から嫌われていたのです。セガサミーホールディングスというのは、サミーやセガの現場からすると官僚組織みたいな印象だったのですが、新オフィスになったらそのような組織はいらないじゃないかということで、従来のセガサミーという文化を壊したのです。

グループ経営の強化・効率化

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何を実施したのかというと、まずは管理機能をすべて統合しました。このオフィスでは、セガとサミーとセガサミーホールディングスの管理機能が、すべて同じところに集まり、機能ごとに(担当者が)座っています。人事部だった人たちは、それぞれ人事部のエリアということで、統括部ができて、一人の統括部長が管理する。総務もまとまって座る。法務も同様です。

つまり、セガサミーホールディングスの管理部門はなくなったということです。これによって、セガサミーと言っていたコーポレートの持株会社の官僚組織を打破しました。そして、効率を上げていくことによって、余った人財をもう一度、どんどん現場に出していこうという取り組みを進めています。

先ほど少し触れたライセンス機能に関しても、セガとサミーが統合したことによって同じライセンサーになるため、サミーでは入れないところもセガでは入れます。担当者が仲良くなれば、それがプラスになるかもしれないですし、先ほど言ったライセンス展開のところで、各プロデューサーをサポートしていくことにも取り組んでおります。

また、リゾート事業を立ち上げたことによって、今まで施設ごとで担当していましたが、リゾート本部内で、北海道から宮崎、韓国のパラダイスシティまで管理します。またリゾート事業としては、新たな事業に取り組んでいく体制を整えておりますし、内部統制も各社バラバラでしたが、1つに整いましたので、私の直下にあります。

各子会社に(担当者が)2~3人いたときは、内部統制のレポートが上がっても、その所属の社長から「里見社長と会長に報告するのは待ってくれ」といったことがあったかもしれませんが、今では有無を言わさず、私に直接レポートが入ってきており、忖度ができない組織になってきています。

働き方改革の推進

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続いて、働き方改革です。

私が社長になって、組織を変える一番最初の取り組みとして「働き方相談課」を作りました。そして、働き方改革のノウハウを全部溜めていこう(と考えました)。そこから「わくらぼ」というサイトを立ち上げて、各社でどんなことに取り組み、どんなことがうまくいっているのかを紹介しました。これは非常に評判が良く、アクセスも高いです。

副業制度【JOB+(ジョブプラス)】

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業界に先駆けて「ジョブプラス」という副業制度も導入いたしました。

どんなものが申請されているかと言いますと、創作・作家活動やコンサルティング・士業、講師・インストラクター、また家業では農家さんもいたりします。これは、私が想定していたものにほぼ近いなと思います。

単純に「もっと稼ぎたい」ということではなく、「自分のノウハウを活かしてもっと社会貢献したい」「自分が成長したい」と考えているものに対して副業を許可すると言ったのですが、そのようなものを申請してきています。

ワークライフバランス

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全社でフレックスの働き方を導入しています。

また現在、テレワークやサテライトオフィスの導入も、実証実験をしているところでございます。(2019年)4月には「セガサミー大崎保育園(仮称)」が敷地内にできるということで、ワークライフバランスをさらに進めていく体制を整えております。

ビジネススキル、人間力など様々な学びを提供

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そして、「セガサミーカレッジ」という社内大学を立ち上げました。

第1回は、青山学院大学の原監督に講演していただきました。階層別に総合的に人財教育をしています。GEのクロトンビルではないですが、あまり儲かっていない子会社では、人財教育をまったくやって来れていませんでした。

OJTというのは名ばかりで何もしない会社もあったため、ここで普遍的に教育をしていきます。すでに来年(2019年)4月の新入社員は、このセガサミーカレッジに預けて、グループに入った全新卒を、2週間にわたって一緒に教育する取り組みをやっております。

また、「里見塾」というのは幹部の教育機関で、人間力をいかに高めるかという塾です。こうしたことを総合的に実施するセガサミーカレッジを立ち上げております。

経営効率向上、連携強化

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そして効率化ということで、オフィスについてですが、最先端のICT対応をしております。

我々社員は、敷地内のどこに行ってもWi-Fiがつながっており、仕事ができる環境も整っております。この(スライドの)ようなフリースペース等もあり、会議室を予約しなくても会議ができます。また、食堂やカフェ等で仕事をしている社員もいます。

これだけのオフィスを作ったため、「見てみたい」ということで、お客さまがどんどんきてくれます。本来、お客さんに会いに行くと、往復の時間および交通費がかかりますが、みなさんに来ていただいているため、移動時間の削減も含め、大きな効率化要因になっております。

人財交流や連携の活性化①

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人財交流や企業イベント(も実施しています)。

この(スライドの)部屋は、最大で500人着席可能で、スタンディングであれば約1,000人が入ります。社内の商談会等のイベントにも使っておりますし、社内の交流イベント等にも活用しております。

人財交流や連携の活性化②

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社内の決起集会や、(スライドで)ご覧いただいているハロウィンの写真……私が鬼太郎の格好をしておりますが、企業文化を変えていくためには、このようなこと(が必要)だと思っております。

サミーの文化、セガの文化ではなく、新たなセガサミーの文化を、その上にきちんと作っていくということに取り組んでいます。

将来有望な企業への投資活動

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オープンイノベーションの取り組みとして、我々は一時期、CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)も展開していたのですが、うまくいかなかったため、だいぶ前に辞めました。今CVCが盛んですが、当社は随分前に辞めました。

現在は、さまざまなベンチャーキャピタルに投資しています。日・米・欧・アジアで投資しており、彼らからいろいろな情報を得て、担当者が向こうの投資家のトレンドを日々追っています。

その中で紹介された会社が、我々のストラテジックパートナーです。よく私は「お金には色がある」と言っていますが、「セガサミー色のお金が欲しい」というスタートアップです。本来、コンサル・銀行系・証券会社系・独立系で、それぞれの1億円でもぜんぜん色が違います。

セガサミーにとって、ストラテジックパートナーとして価値があるという会社さんには直接投資しておりまして、すでに事業関連、テクノロジー的におもしろいところなどに投資しております。その中でM&Aされたり、上場したり、エグジットしたものもあります。逆に、我々のグループ内に取り込んだのもあり、このオープンイノベーションは、どんどん進めていこうと考えています。

コワーキングスペース

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その象徴として、TUNNEL TOKYOをオフィス内にオープンいたしました。

稼働初日から8割ぐらいのテナントさんに入ってもらっておりますが、ここにスタートアップをどんどん呼んで、イベントなどもやっていきます。落合陽一くんに来てもらってお話ししてもらいましたが、イベントスペースとしても貸し出しておりますので、いろいろなベンチャーの方にきてもらい、オープンイノベーションを進めていくという体制が、オフィスでも整っています。

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また、我々のグループではスポーツにも非常に力を入れておりまして、ゴルフ・サッカー・野球、そして(麻雀プロリーグの)Mリーグにも進出しました。これからは、e-sportsにも仕掛けていきたいなと思います。

IR表彰

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最後になりますが、ありがたいことに、私が社長になってから、いろいろと賞をいただきました。

ここ(の会場)にいらっしゃるアナリストの方々にも、アンケートを答えていただいたかと思いますが、証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定ということで、広告・メディア・エンタメ部門で1位になりました。

そこで、御礼も兼ねてお話ししたいなと思います。広告・メディアといった部門のため、有名な会社もいろいろありましたが、その中で我々は、アナリストの方から1位に選んでいただきました。

そして、(2018年インターネットIR表彰において)大和インベスター・リレーションズさんが選んだ優秀賞を受賞させていただきました。

我々としても、引き続きいろいろなことを積極的にディスクローズしていきたいなと思っております。逆にみなさんから「このような資料の作り方をしてほしい」「このようなことが聞きたい」といったことを、どんどん我々の担当に話していただき、反映していきたいと思っております。

このオフィスを使って、グループの力をさらに結集して、次の成長に向かっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

グループの今後の展望

里見治氏:みなさん、こんにちは。当社の、これから5年ぐらい先までの話は社長からさせていただいたと思うのですが、それ以後のグループをどのようなかたちで発展させていきたいのかについて、お話をさせていただきたいと思います。

もちろん、今すでにある事業・部門を、より成長させていく……これは当たり前なわけですが、将来的に、どうすれば本当の意味での総合エンタテインメント企業になれるのか。簡単に言えば、少なくとも1兆円以上の売上、20パーセント以上の利益を上げるために、何をしたらいいのか。これが、私にとっては大きな命題になっています。

大きなボリュームでビジネスを展開していくためには、やはりIRが非常に大きな要素になると思います。おかげさまで仁川が……これは共同で事業を展開している合弁会社ですが、1年7ヶ月ぐらい経過して、毎月少しずつカジノの稼働率が上がってまいりました。

(2018年)9月から、本体以外の第1期第2段階工事として、クラブ・ショッピング・飲食・スパ、それ以外のイベント広場やホテルを開業しました。今のホテルが5スターであれば、簡単に言えば6スターのホテルです。このようなところが、すでにできあがっています。

ただし、できあがっていないのが、本来当社が得意としているインドアのテーマパークです。(オープンは)来年3月ぐらいになってしまうのですが、なぜそうなったかを正直に申し上げます。

「これで進めていきたい」という最初の構想を見たときに、それは私のイメージとかけ離れたものでした。「セガサミーが、こんなことをやるのか?」と(思われてしまいます)。これではお粗末だと思い、もう1回、ゼロからやり直すように指示したため、遅れてしまいました。これは、私自身も油断したと思っているのですが、これができあがると、本当の意味ですべてのIRができあがるだろうと思っています。

スタートした頃は、ちょうどTHAAD(サード)の設置問題や、中国・韓国との関係が非常に悪くなり、中国人のお客さまがあまり来なかったのですが、最近は(その状況が)少し緩和されてきたということで、中国のお客さまも徐々に増えました。ただし、まだ中国と韓国が100パーセント(関係が良好)というところまでは進んでいないと思います。これも、だんだんよくなっていくんだろう(と見ています)。

そこを期待しているところではありますが、カジノの売上も、おかげさまで毎月伸びてきて、これであれば、将来的に十分に利益が取れるといったところまできました。

想定外だったのは、ホテルや他の施設が、韓国国内の人たちから非常に人気があったことです。とくに週末は、韓国国内のお客さんでほとんど満杯になってしまうということです。(事情を)聞いてみると、韓国内のあるレベル以上のお客さまにとって、当社の仁川の施設は、一種のステータスのような位置づけになっているということで、非常にうれしく思っています。

そして、日本についてです。当社としては、ぜひ日本で主導権を持ったかたちでIRを推進していきたいと思っています。基本的な構想から、どのようなかたちでインフラを作っていくのか、ホテルの規模をどのくらいにするのかといったところまで、すでにチームを作って(検討しています)。

いろいろなコンテンツを展開して、世界に発信できるIRをぜひ作り上げたいという思いで取り組んでおり、年内もしくは来年の春ぐらいまでには、かなり詳細なものができていくだろうと思っています。

日本のIRは、いつ、どのように、どこで決められるのかについて……今の状態ですと、基本の法律はできたけれども、きちっと運営するための規則や政令といったところは、まだまだ進めている最中です。

それらが全部決まって発令されなければ、公募といいますか……どの企業、どの自治体がやるのかも決まりません。(規則や政令が)ある程度出てくるのは、来年の夏以降になる可能性が高いと思っています。来年の参議院選挙が終わってからのほうが、確率が高いかもしれません。

そう考えると、どこの自治体にどの事業者が参入するかが決まるのは、2020年のオリンピック直前は忙しいでしょうから、オリンピックが終わったあとくらいに決まるのかなと見ています。

そして次は、決まった事業者・自治体が、実際に工事に入っていくことになります。そうすると、早くても2024年の秋以降くらいのオープン……普通に考えると、やはり2025年くらいになってしまう可能性が高いかもしれません。とくに大阪は、2025年に万博(があります)。なんとかそこに合わせて(IR事業を)やりたいと思っているのではないでしょうか。

そのような状況の中で、当社も少しずつ、前倒しで取り組んでいければと思っています。今後、(IRが)セガサミーグループの売上規模・収益の面で、大きな部分になっていくのだろうと思っています。同時に、今の事業領域のウイングをいかにして広げてくか(も重要です)。

それでは当社が今、何に取り組んでいるのかといいますと、いかにして、グループ社員一人ひとりをスキルアップすればよいのだろうかということ(を考えています)。また、いかにして幹部社員を養成していくのかも(含めて)、いろいろなことに取り組んでいます。

例えば、「里見塾」という塾をひらいています。これは執行役員を含めた部長クラス以上の人間を集めて、「将来、このグループの中で(会社を)担ってもらいたいな」と思う人間に対して、教育といいますか、私の基本的な考え方などを勉強してもらおうというものです。すでに第3クールといいますか……もう1陣目、2陣目(の塾)は終わっており、今は3陣目です。

それ以外にも、いろいろなところと協力させてもらって、そうした教育などを、それ(部長クラス以上)以外の社員にも実施したいです。一人ひとりのスキルをどのように引き上げて、どのようにして将来に向かっていくのかということで、今、地道に取り組んでいます。

また、今回(グループ本社機能を)ほぼすべて集約したという意味では、グループの一体感が醸成されるでしょう。同じグループといっても、会社が違うと、まったく別の会社といった意識が当然あるわけです。しかし、ここで一体化したということで、まだ2ヶ月程度しか経っていませんが、それでもセガサミーグループの一員という意識(のようなもの)が、かなり出てきたのかなと感じています。

子会社のみんなは、それぞれの会社(のメンバーでのランチ)が基本ですが、毎週月曜日のランチは、別々の会社から部長以上クラスを呼んで、一緒にランチをしています。そこで私とのコミュニケーションがとれるほかに、ランチに来た者同士でいろいろな話し合いをする中で、より親しくなっていくということで、毎週月曜日に10人くらいですが(そうしたランチを実施しています)。

社長もまた、10人くらいで同様の取り組みを行っています。これにより、違う会社の役員同士もいろいろな意味で親しくなります。(ランチの場で)仕事の話も出ますが、「今度は、このようなものを一緒にやりましょう」といった話も出てきています。非常によい取り組みではないかと思っています。

また、とくに管理部門である人事、総務、法務、財務など、主要な子会社のものは、すべて8階のワンフロアの1ヶ所に集めて、総務は総務として……サミーの総務、セガサミーホールディングスの総務、セガの総務と、同じデスクで仕事をしてもらう中で、相互理解と同時に、将来的には効率のいいかたちが見えてくるのではないかと(考えています)。そのような状況の中で、これから5年、10年先を見つめて、人財を育てる。この一体感を持ってもらいながら、新しいビジネスにトライしていきたいなと思っています。

直近で、新しい取り組みは何かといいますと、1つはカジノ向けの機械を開発しています。すでにある程度はできているのですが、それに関連して、我々はネバダのゲーミングのライセンスを、去年の11月終わりくらいに取得しています。

その商品が(世の中に)出ていくとしても、来年の秋以降くらいになると思いますが、延長線上での1つのビジネスとして展開していきたいと思っています。

もう1つは、すでにソニックを使って、パラマウント・ピクチャーズ社とハイブリッドの映画を作っており、来年11月の初めには、アメリカやヨーロッパで公開したいなと考えています。この目的が何かというと、当然、映画で収益を上げられるのはいいのですが……ソニックというキャラクターは日本ではあまり人気がないのですが、アメリカやヨーロッパでは、かなり人気があります。ただ、その人気は小学生くらいまでなのです。

そこで、映画を製作することで、中学生くらいまでの層を開拓できれば、ゲームソフトを販売する際も、より広がりのあるビジネスができるのではないかということも考えています。それ以外に、劇場用のフルCGの映画などにも取り組んでおり、多分来年中には公開できるのではないかと思います。

このように、単なる実写だけではなく、(実写とCGの)ハイブリッドの映画とフルCGの映画も作っています。

(IRが本格的にスタートするのは)おそらくこれから5年以降になってしまうということですが、5年くらいすぐに経過すると思います。このあたりが、これから5年以降の一番大きなビジネスになるのかなと思います。

それまでに、当社がある程度必要としているような、また収益をプラスに補完できるような企業(の買収)について(も考えていますが)、あまり大きな金額のM&Aはしたくないなと思っています。

IRのところでものすごくお金がかかりますから、ある程度キャッシュ・フローをキープしながら進めたいと思っています。しかし、そこそこの規模でそこまで(費用がかからない)なら、M&Aを実施しながら業容の拡大も進めていきたいなと思っています。

当社グループの社是といいますか……サミーでは「積極進取」を社是にしていますし、セガグループでは「創造は生命」ということが書かれています。これは、ある意味では共通点があるわけです。こうしたエンタテインメントのビジネスは、守り(の姿勢)では会社の業容に成長はあり得ませんので、チャレンジしていくということ(が重要です)。

セガの「創造は生命」も同じです。新しいものを他社に先駆けて作り出して、世の中に問うていく。これは両方に共通しているのですが、そのような気持ちをずっと持ちながら進んでいきたいなと思っています。

私が社員にいつもしていることは……ある程度の権限を与えてチャレンジさせる。それで失敗したら、上の者がきちんと尻拭いをする。ただし、なぜ失敗したのかを本人に総括させなければいけません。そして、上の者たちも尻拭いをすることで勉強になるだろうと(考えています)。

「権限」と言いましても、何億円の損をするようなことまで新人に任せるはずがないわけですし、小さな失敗のほうがいい(経験)じゃないかと思います。つまり、一生懸命に取り組んで失敗したことは、必ず身につきます。逆にうまくいった場合は、できるだけ部下に手柄をやりなさいということも伝えています。

また、厳しい現実や問題が起きたときは、上の人間が率先して対応し、クリアする。はっきりいえば、私は一番トップなわけです。みんなにこうした意識があって、それがいわゆるピラミッドのように構築できれば、こんなに強い会社はないでしょう。

会社が本当にどうなるかわからないような大きな問題が起きたときは、当たり前ですが、私が率先して(問題に)取り組まなければいけない。それは当たり前だと思っています。またこれまでも、そうしてきたつもりでおります。

ですから、当社の社員には、ぜひそのような想いで部下を育て、自分の上司もそれと同じようなかたちで仕事に取り組めば、その組織は盤石なものになるでしょう。組織が本当に盤石なものになれば、いい成果も出てきますし、突破力も間違いなく出てくると考えています。

(こうした考え方に)ある程度みんなを集約できたのは、セガサミーグループがこれから成長していく上でのベースになるのではないかなと考えています。もう一度原点に帰って、スタートするようなつもりで進めていきたいと思っています。

それでは、私の話は終わりとさせていただきます。

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