NISAやiDeCoなどで資産形成を行っている方も多いでしょう。資産形成の目的として多くあがるのが「老後資金」です。
老後資金について考える際、「年金はいくらもらえるのか」という視点がとても重要です。
日本の公的年金制度は、会社員などが加入する厚生年金と、自営業者や専業主婦などが加入する国民年金の2階建てとなっており、働き方や加入期間によって将来受け取れる年金額は大きく異なります。
この記事では、具体的な働き方等をもとに厚生労働省が試算した「ライフコースごとのモデル年金額」をご紹介します。
例えば「厚生年金に約40年加入し、平均給与が50万9000円だった」というケースや、「厚生年金に加入したのは7.6年のみで、その間の平均給与は36万4000円。残りは自営業だった」というケースなどを5つ紹介します。
ご自身の状況に近いモデルを参考に、将来の年金受給額をイメージしてみましょう。
記事後半では、厚生労働省が公表している厚生年金・国民年金の平均受給額も1歳刻みで解説していきます。
1. ライフコースでの年金の違い「日本の公的年金は2階建て」
そもそも日本の公的年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」から成り立つ2階建て構造となっています。
この2つの年金制度の基本を押さえておきましょう。
1.1 1階部分:国民年金
- 加入対象:原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
- 年金保険料:全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)
- 老後の受給額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額の老齢基礎年金(※2)を受給できる。未納期間分に応じて満額から差し引かれるしくみ。
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金
- 加入対象者:会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入
- 年金保険料:収入に応じて(上限あり)決定される(※4)
- 老後の受給額:加入期間や納付済保険料により、個人差が出る
国民年金と厚生年金では、加入対象や年金保険料の決定方法、そして受給額の計算方法などが異なります。そのため、老後に受け取る年金額は一人ひとり変わってくるのです。
また、公的年金額は物価や現役世代の賃金を考慮して、年度ごとに見直しがおこなわれます。次では2025年(令和7年度)の年金額改定について紹介します。
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。