SNSを開けば、かわいらしい猫の動画が次々と流れてきます。「うちでも飼いたい」と思う人は多いでしょう。

では、実際に猫と暮らすには月にどれくらいのお金がかかるのでしょうか。そして、飼いたいのに飼えない人は何を理由に踏みとどまっているのでしょうか。

一般社団法人ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」から、猫に関する経済事情を見ていきます。

1. この記事の3つのポイント

  •  ①猫に関する月間支出総額は2025年に1万1865円で増加傾向
  •  ②飼いたいのに飼えない理由の1位は「集合住宅で禁止されているから」31.3%
  •  ③飼いたいと思ったきっかけの1位は「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」50.5%

2. 猫の飼育費用は月1万1865円に

一般社団法人ペットフード協会はペット関連企業のマーケティング施策や商品開発を後押ししたり、ペットの飼育率向上を図るため、全国犬猫飼育実態調査を行いました。

「令和7年 全国犬猫飼育実態調査」によると、猫の飼育経費は以下のように推移しました(数値は毎月の支出額平均)。

2.1 【猫に関する支出総額(医療費等含む)】

  • 2021年:9138円
  • 2022年:9341円
  • 2023年:1万171円
  • 2024年:1万1004円
  • 2025年:1万1865円

2021年の9138円から2025年の1万1865円へ、5年間で2727円の増加。上昇率は約29.8%です。

年間にすると14万2380円。決して小さくない金額であり、しかも毎年着実に上がっていることがわかります。

2.2 主食とおやつ、それぞれの推移

支出総額の内訳のうち、フード代の推移も見ておきましょう。

【市販の猫主食用キャットフード】

  • 2021年:3504円
  • 2022年:3709円
  • 2023年:3748円
  • 2024年:4203円
  • 2025年:4517円

【市販の猫おやつ用キャットフード】

  • 2021年:1481円
  • 2022年:1851円
  • 2023年:1885円
  • 2024年:1913円
  • 2025年:1957円

主食は5年間で1013円増、おやつは476円増です。主食用フードの上昇幅が大きく、特に2024年は前年から455円と大幅に上がっています。また、おやつ用も2022年に一気に増額して以降、高止まり傾向が続いており、5年間で猫の食費は増加傾向にあることがわかります。

こうした背景には、原材料費や物流コストの高騰に加えて、愛猫の健康寿命を考慮して高品質なプレミアムフードや機能性おやつを選択する飼い主が増えている可能性も考えられます。

なお、月々の支出総額1万1865円に対して、フード代(主食4517円+おやつ1957円)は合計6474円と、全体の半分以上(約55%)を占めています。残りの約5400円が、猫砂やトイレ用品、医療費、ケア用品などに充てられている計算になります。

3. 飼えない理由の1位は「集合住宅で禁止」

同調査では猫を飼う上での阻害要因に関するアンケート調査も実施されました。

「猫を飼いたいと思いながらも現在飼育していない理由」として、以下のような回答ランキング結果(複数回答可)となりました。

  • 1位 31.3%:集合住宅(アパート・マンションなど一戸建てでないもの)に住んでいて、禁止されているから
  • 2位 26.1%:世話をするのにお金がかかるから
  • 3位 22.4%:別れがつらいから
  • 4位 20.9%:旅行など長期の外出がしづらくなるから
  • 5位 20.5%:死ぬとかわいそうだから

居住環境の事情が理由で飼育できないという理由が3割を超えました。

2位に「世話をするのにお金がかかるから」が入っている点も見逃せません。飼育費用の上昇が、飼育をためらう要因になっている可能性があります。

3位、5位には別れや死に関する心理的な理由が並びます。金銭面と環境面、そして心理面。飼育をためらう理由は複合的です。

3.1 飼いたいきっかけは「癒しがほしい」が50.5%

一方、飼いたいと思ったきっかけについても調査されています。

同調査では「現在猫を飼育していないものの、今後飼育する意向がある人」について、飼いたいと思ったきっかけに関しても調査され、結果は以下のような回答ランキング結果(複数回答可)となりました。

  • 1位 50.5%:生活に癒し・安らぎが欲しかったから
  • 2位 26.2%:過去に飼育経験があり、また飼いたくなったから
  • 3位 18.5%:愛情をかけて世話をする対象が欲しかったから

「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」が50.5%と、その他の理由に大差をつけて1位となっています。

1位と3位はいずれも心の健康にも関わる動機です。猫と暮らすことに、経済的な負担を超える精神的な価値を見出している人が多いことがうかがえます。

4. 「飼いたいけど飼えない」とSNSの猫コンテンツ

さまざまな理由で飼いたいのに飼えない人がいる中、費用や制約なしで手軽に癒しを感じられるSNSでの猫に関する投稿や動画は、注目を集めやすいコンテンツであることがうかがえます。

飼育費用は5年連続で増加し、集合住宅の制約もある。それでも「癒しがほしい」というニーズは50.5%の人が持っている。この需給のギャップが、猫コンテンツの人気を支えている構図といえるでしょう。

なお、これから猫を迎えることを検討している方は、月々の費用に加えて、初期費用(ワクチン、不妊・去勢手術、ケージや用品)と、将来の医療費も見込んでおくことが大切です。猫は15年以上生きることも珍しくなく、長期的な家計計画が必要になります。

5. まとめにかえて

今回は、ペットフード協会の調査から猫に関する経済事情を確認しました。

  • 猫に関する月間支出総額は2025年に1万1865円で増加傾向
  • 飼えない理由の1位は「集合住宅で禁止されているから」31.3%、2位は「お金がかかるから」26.1%
  • 飼いたいきっかけの1位は「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」50.5%

猫と暮らすことは、癒しと同時に責任と費用を伴います。数字を知ったうえで、自分にとって現実的かどうかを考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

LIMOどうぶつ部