年金を受給していても、年金額が最低生活費を下回る場合は、要件を満たせば生活保護を受けることができます。そこで、「最低生活費っていくら?」「生活保護を受けるための要件は?」という疑問が浮かぶでしょう。

本記事では、これらの疑問をわかりやすく解説し、月4万円の年金で地方住まいの場合にいくら生活保護を受給できるのか、具体的な金額についてもシミュレーションします。将来もらえる年金が少なく不安になっている人は、生活保護について知っておくと、いざという時に安心できるでしょう。

1. 生活保護制度の概要

生活保護は、生活に困窮する人に対し必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としている制度です。

生活保護を受けるには要件があり、生活が困窮しているからといって、すぐに生活保護を受けられるわけではありません。まずは活用できるものはすべて活用しなければならないというルールがあります。

1.1 生活保護を受けるための要件

資産の活用

預貯金や生活に使用していない土地・家屋などがあれば売却し生活費に充てる。

能力の活用

働くことが可能な人は、その能力に応じて働く。

他の制度の活用

年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用する。

親族からの援助(扶養義務者の扶養)

親族などから援助を受けることができる場合は、その援助が生活保護よりも優先される。

生活保護は世帯単位で行い、世帯の全員が、その利用できる資産や能力、その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提となっています。そのため、年金生活者であっても働ける状態にある場合は、働いて収入を得る必要があります。

活用できるものを活用してうえで、それでも収入が国が定めた最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。

1.2 最低生活費について

最低生活費は、地域、年齢、世帯の人数などにより定められています。

住んでいる地域によって生活費は異なってくるので、地域を1級地から3級地に分け、さらにそれぞれを2つに分けた「級地区分」に従って基準額が決められています。

大都市を先頭に、人口が減っていく地方へと順に並べると次のようになります。

「1級地-1」>「1級地-2」>「2級地-1」>「2級地-2」>「3級地-1」>「3級地-2」

東京23区や大阪などは「1級地-1」に該当し、基準額は最も高くなります。

級地区分の他、年齢や世帯の人数に応じて基準額が定められ、さらに世帯員の状況(障がい者・母子家庭など)によって加算があります。(生活扶助)

さらに、家賃などを支払っている場合は、級地による基準額の範囲内で実際に支払っている家賃が加算されます。(住宅扶助)

この他にも、子どもを扶養している場合は教育扶助、出産があれば出産扶助などが加算されます。

これらを合計して最終的な最低生活費が算出されます。