1.2 年金の未来を守る”調整機能”が「マクロ経済スライド」

年金の未来を守る”調整機能”として導入された仕組みが「マクロ経済スライド」です。

賃金や物価が上昇した場合でも、現役世代の減少や平均寿命の伸びを考慮した「スライド調整率」を差し引いて、年金の給付水準を緩やかに抑えます。

これにより、保険料収入と給付のバランスを長期的に保つことが目的です。

賃金・物価の上昇率が大きい場合、「マクロ経済スライドによる調整」で年金の増え方を抑える

出所:日本年金機構「マクロ経済スライド」

また、賃金や物価があまり上昇しない場合は、年金額が減らないよう調整が制限される仕組みも設けられています。

賃金・物価の上昇率が小さい場合、「調整を制限」して年金額がマイナスにならないようする

賃金・物価の上昇率が小さい場合、「調整を制限」して年金額がマイナスにならないようする

出所:日本年金機構「マクロ経済スライド」

さらに、賃金や物価が下落してしまうような状況でもマクロ経済スライドによる調整はされず、賃金・物価の下落分のみ年金額は引き下げられます。

賃金・物価が下落の場合、「調整はしない」

賃金・物価が下落の場合、「調整はしない

出所:日本年金機構「マクロ経済スライド」

年金の未来を守るためにマクロ経済スライドは重要な”調整機能”だということがわかりましたね。

ここまで、今年度の年金増額と調整されたマクロ経済スライドについて解説しました。

ただし、年金が増額しても実際にもらえる金額は人によって異なります。

加入していた制度や働き方、保険料の納付期間などによって、受け取る年金額に差があるのが現実です。

次は、厚生労働省が示したケース別の年金額データをもとに、年金受給のリアルを見てみましょう。