5月の陽気とともに、そろそろ6月の年金受給を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
そんな中、2025年度(令和7年度)の年金額は1.9%の増額。
物価や賃金の変動に応じて見直される年金制度ですが、実際にいくらもらえるのか、性別の差はあるのかなど、気になるポイントを整理してお届けします。
年金生活に少しうれしい変化があるこのタイミングで、自分の受給額を改めて確認してみましょう。
1. 【2025年度】年金はいくら増える?
まずは、今年度4月分からの年金額についてみていきましょう。
1.1 令和7年度の年金額は1.9%引き上げ
年金額は毎年、物価や賃金の変動に応じて見直しがされます。
令和7年度は、賃金や物価の上昇に対して「マクロ経済スライド」による調整(▲0.4%)が加わり、最終的に1.9%の引き上げとなりました。
- 国民年金(老齢基礎年金〈満額〉1人分)
→月額6万9308円(対前年度+1308円アップ) - 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)
→月額23万2784円(対前年度+4412円アップ)
1.2 年金の未来を守る”調整機能”が「マクロ経済スライド」
年金の未来を守る”調整機能”として導入された仕組みが「マクロ経済スライド」です。
賃金や物価が上昇した場合でも、現役世代の減少や平均寿命の伸びを考慮した「スライド調整率」を差し引いて、年金の給付水準を緩やかに抑えます。
これにより、保険料収入と給付のバランスを長期的に保つことが目的です。
また、賃金や物価があまり上昇しない場合は、年金額が減らないよう調整が制限される仕組みも設けられています。
さらに、賃金や物価が下落してしまうような状況でもマクロ経済スライドによる調整はされず、賃金・物価の下落分のみ年金額は引き下げられます。
年金の未来を守るためにマクロ経済スライドは重要な”調整機能”だということがわかりましたね。
ここまで、今年度の年金増額と調整されたマクロ経済スライドについて解説しました。
ただし、年金が増額しても実際にもらえる金額は人によって異なります。
加入していた制度や働き方、保険料の納付期間などによって、受け取る年金額に差があるのが現実です。
次は、厚生労働省が示したケース別の年金額データをもとに、年金受給のリアルを見てみましょう。
2. 「みんないくら増えた?」性別や職歴などでここまで年金額に差が出る!
2025年1月24日に厚生労働省が発表した「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」の中では、【多様なライフコースに応じた年金額】として5つのモデルケースごとに年金月額をまとめています。
経歴類型・男女に分かれた5つのモデルケースと令和7年度年金月額について
- 厚生年金期間中心(20年以上)の男性
→17万3457円(+3234円) - 国民年金(第1号被保険者)期間中心(20年以上)の男性
→6万2344円(+1156円) - 厚生年金期間中心(20年以上)の女性
→13万2117円(+2463円) - 国民年金(第1号被保険者)期間中心(20年以上)の女性
→6万636円(+1127円) - 国民年金(第3号被保険者)期間中心(30年以上)の女性
→7万6810円(+1431円)
【多様なライフコースに応じた年金額】のポイントを解説していきます。
2.1 職歴や年金制度によって大きな差がある
たとえば、厚生年金に20年以上加入した男性の月額は17万3457円、同条件の女性は13万2117円。
一方で、国民年金のみの女性は月額6万円程度にとどまります。
2.2 女性の年金額は全体的に低め
出産や育児などの就業中断による年金加入期間の影響や、パートなどの非正規雇用の比率が高いことが影響しています。
第3号被保険者中心の女性でも月額7万6810円と、男性との間には大きな開きがあります。
2.3 平均収入と加入年数が金額に直結
同じ厚生年金加入者でも、平均収入と加入年数の違いで金額差が出ます。
男性の平均加入年数は39. 8年・年収50万9000円に対し、女性は33. 4年・年収36万5000円で、年金額にも反映されています。
【多様なライフコースに応じた年金額】の一覧表では、年金額は性別や職歴、加入期間によって大きく異なるのがわかりましたね。
年金生活に少し嬉しい変化があるこのタイミングで、自分の受給額を改めて確認してみましょう。
3. 自分の年金額を改めてチェック
今回は、厚生労働省や日本年金機構の資料をもとに、令和7年度の年金額改定とマクロ経済スライドの仕組み、そして性別や職歴別で異なる年金額の実態について解説しました。
まとめると、
-
年金額は2025年度に1.9%引き上げ -
マクロ経済スライドにより、年金増額をゆるやかに調整 -
年金の支給額は性別や加入期間・収入により大きな差
年金生活にうれしい変化があるこの機会に、自分の年金額を改めてチェックしてみましょう。
参考資料
村岸 理美