3.2 老後資金を準備する

年金だけで不足する老後資金を、事前に準備することも重要です。老後の家計収支の赤字を埋めるに「老後資金2000万円が必要」という記事が話題となりましたが、老後の必要資金は人によって異なります。

まずは、老後の家計収支を想定して老後資金がいくら必要かをシミュレーションすることが重要です。

必要資金が大まかにわかれば、老後を迎えるまでに準備します。銀行預金や生命保険、投資など資金準備方法は様々ですが、次の2点を検討してみるのもいいでしょう。

  • 貯蓄より投資を選択する
  • iDeCoやNISAを活用する

投資にはリスクがともないますが、低金利が続く中、貯蓄より投資の方が資金を大きく増やせる可能性があります。長期にわたり分散投資することで、リスクを抑えながら一定の収益を狙えます。

iDeCoやNISAなど、税制上の優遇措置が設けられた制度を活用するのもひとつです。

どちらも運用益は非課税となるため、長期投資には有利です。

老後資金だけに絞るなら、iDeCoであれば運用益非課税に加え、掛け金は全額所得控除、受け取る年金は公的年金等控除の対象(一時金受取の時は退職所得控除の対象)となります。

4. まとめにかえて

老齢厚生年金の平均受給額は、物価変動率や名目手取り賃金変動率に応じて年金額が改定されるため年度によって増減します。

物価などが上がれば平均受給額は増加し、下がれば減少します。ただし、マクロ経済スライドにより、今後の年金水準は穏やかに低下します。

年金水準の低下をカバーするために、老後対策がますます重要になります。

それぞれの状況に応じて、老後の収入(給与や年金)を増やしたり、十分な老後資金を準備したりすることを検討しましょう。

参考資料

西岡 秀泰