2. 今後の年金水準は穏やかに低下する
平均受給額は毎年増減しますが、老齢厚生年金の受給額の計算方法は2003年4月以降(賞与からの保険料控除が始まり計算方法を変更)、基本的には変わっていません。
加算部分を除く老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算方法は次の通りです。
- 老齢厚生年金=平均標準報酬額×5.481/1000✕厚生年金の加入月数
平均標準報酬額は、大雑把にいうと厚生年金加入中の報酬(賞与を含む)の1ヶ月当たりの平均額です。
過去の報酬については、物価変動率などに応じて現在の価値に置き換えて計算します。
つまり、上記の計算式だけみると、今後の年金水準は今と変わらないことになります。
しかし、2004年の年金制度改正で導入された「マクロ経済スライド」により、年金の改定率を物価変動率などより抑えられることになりました。そのため、年金水準は今後穏やかに低下します。
2025年度の改定では、名目手取り賃金変動率は2.3%上昇しましたが、年金の改定率はマクロ経済スライドにより0.4%抑えられて1.9%となりました。
マクロ経済スライドは少子高齢化による年金財政の悪化を防ぐために設けられました。
同様の理由で、年金制度が改正されれば、将来の年金水準はさらに低下する可能性もあります。