2. 凍結されていなければATMで引き出すことは可能
たとえば、親が亡くなったときに「当面の生活資金を引き出したい」、「葬式代を親の預金から支払いたい」ということもあるでしょう。
銀行側に死亡の事実が伝わらずに凍結されていなければ、預金者が亡くなった後もATMで引き出すことは可能です。
ただし、口座に預けている預金は、親が亡くなった時点で「相続資産」となります。
ATMで引き出して使うことで、後々他の相続人とトラブルに発展してしまうこともあるかもしれません。
相続トラブルと聞くと「うちに限ってそんなことはない」と思うかもしれませんが、遺産分割に関するいざこざは決して珍しいことではありません。
最高裁判所の「司法統計」によると、2013年には1万2263件だった遺産分割に関するトラブルが2023年には1万3872件へと増加しており、年々増加傾向にあることが分かります。
つまり、相続トラブルはどの家庭にも起こり得ることといえるでしょう。
ATMからの引き出しについても、他の相続人から「他のことに使ったのでは?」「自分だけ相続資産が多く受け取っているのでは?」といった疑いをかけられないためには、引き出す際にきちんと出金する金額やその目的を共有しておくことが大切です。
また、葬式代などに充てた場合はその領収書も保管しておくようにしましょう。
2.1 税務署から疑いをかけられるきっかけになることも
前述の通り、口座に預けている預金は亡くなった時点で相続資産となります。
そのため、もし税務署から調査が入ったときに死亡後に何度も出金している履歴があると「資産隠しなのでは?」、「他にも資産があるのでは」と疑いをかけられるきっかけにもなりかねません。
葬式代など資金使途を証明しやすいものを除いて、「口座が凍結される前にとりあえず出金しておこう」といった安易な資金移動は控えるようにしましょう。