筆者はファイナンシャルアドバイザーとして、これまでたくさんの方から「お金に関する相談」を受けてきました。
そのなかで最近とくに感じるのは「将来の年金生活に備えて、早めに準備をはじめたい」と考えていらっしゃる方が増加傾向にあることです。
なかでも、自営業の方や非正規雇用で働いている方など、働き方や収入によっては、将来受け取れる年金額が少なくなる可能性があります。
もしそういった状況であれば、早い段階からの対策がとても大切になります。
基礎年金を受給していて、年金やその他の収入などが一定の基準より少ない方には、「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存じでしょうか。
「年金生活者支援給付金」は生活の支援を図ることを目的に、2019年にスタートした恒久的な制度です。
支給要件を満たし、申請手続きを行った方を対象に、2カ月に一度公的年金に上乗せして支給されるしくみとなっています。
この記事では、この「年金生活者支援給付金」がどのような制度なのか、どのような人が支給対象となるのか、受け取るためにはどうすればよいのかを、わかりやすく解説していきます。
1. 恒久的な制度《年金生活者支援給付金》とは?
厚生労働省が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)5万円台、厚生年金(国民年金部分も含む)14万円台となっています。
ただし、上記グラフをご覧いただくとわかるとおり、厚生年金(国民年金を含む)を月額25万円以上受給している人もいれば、国民年金・厚生年金ともに月額2万円未満の人もいるなど、公的年金の受給額は個人差が大きいです。
基礎年金を受給していて、年金とその他の所得を含めても、一定基準以下の所得となる場合、申請手続きを行うと受け取ることができる「年金生活者支援給付金」があることをご存じでしょうか。
次は、この「年金生活者支援給付金」の支給要件や金額について解説していきます。
1.1 「年金生活者支援給付金」2カ月に一度、公的年金に上乗せされる
「年金生活者支援給付金」は、基礎年金を受給していて、年金収入やその他の所得額が一定基準額以下となる方の生活を支援する目的で、2カ月に一度年金に上乗せして支給される給付金です。
2019年に始まった比較的新しい制度となっており、なかには聞きなれない人もいるかもしれません。
受給中の基礎年金の種類に合わせて、以下の3種類の年金生活者支援給付金が設定されています。
- 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
次は、年金生活者支援給付金の「給付額」や「支給要件」を確認しましょう。
2025年度は、前年度と比較して給付額が引き上げられています。