3. 50歳代からでもできる「老後対策」3選
厚生年金は加入期間が短い場合や年収が低い場合、受給額が少なくなる可能性があります。
そのため、年金だけに頼らない老後対策を早めに準備しておくことが重要です。
本章では、50歳代からでも始められる老後資金対策を3つ紹介します。
3.1 1.老後の家計収支シミュレーションをする
まずは、老後の「収入」と「生活費」をシミュレーションしておきましょう。
公的年金の受給額は、加入している年金タイプや加入期間、年収によって異なり、個人差が大きいため、事前に把握しておくことが大切です。
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などを利用して、受け取れる年金額を確認することが、老後資金対策の第一歩となるでしょう。
想定される年金受給額がわかれば、老後の生活費からその年金額を差し引き、毎月の不足分を算出しましょう。
たとえば、65歳から老後生活を始め、20年間生活を続ける場合は、「毎月の不足額×12ヶ月×20年」が、最低限必要な老後資金となります。
もしこの金額を老後までに貯めるのが難しい場合は、後述する資産運用をしたり、繰下げ受給の検討をすることが有効です。
3.2 2.資産運用をする
次に、老後の不足分を補うために効率よく老後資金を増やす方法として、「資産運用」を検討してみましょう。
資産運用の手段として特におすすめなのが、「NISA」と「iDeCo」です。
NISAは、投資で得た収益に税金がかからない制度で、2024年から新しく「新NISA」が導入され、非課税となる金額が大幅に増えました。
また、非課税保有期間が「無期限」になったため、長期的な資産運用を行いたい方にとって非常に魅力的な制度です。
一方、「iDeCo」は私的年金の一種で、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に受け取れる年金です。
なお、iDeCoは税控除の対象となるため、老後資金を積み立てながら節税できる点も大きな利点です。
ただし、NISAとiDeCoはどちらも預貯金より資産が増える可能性がある一方で、リスクも伴うため、そのメリットとデメリットをしっかり理解したうえで、自分に適した方法を選ぶことが重要です。
3.3 3.繰下げ受給の利用を検討する
最後に、年金額を増やすための制度である「繰下げ受給」の利用を検討すると良いでしょう。
繰下げ受給とは、年金の受給開始年齢を遅らせることで、受け取る年金額を増額できる制度です。
増額率は「繰り下げた月数×0.7%」で、最大で84%の増額が可能で、この増額は一度決まると、生涯にわたり変わることはありません。
たとえば、本来の年金額が14万円の場合、受給開始を75歳まで繰下げると、「月額25万7600円」に増額されます。
また、年金額を増やす方法として、他にも「年収をアップさせて長く働く」「国民年金基金を活用する」などがあるため、あなたに適した年金額アップの対策を実践してみてはいかがでしょうか。