物価の上昇が続いていることもあり、老後に公的年金のみで生活していくには厳しい状況にあります。

PGF生命「2025年の還暦人に関する調査」※によると、今年還暦を迎える方の貯蓄金額は平均で2469万円でした。

その一方で、貯蓄金額の中央値は475万円となっており、貯蓄額の平均と比べ約2000万円も少ないことがわかりました。

このように、老後の貯蓄額には個人差があります。

では、65歳以上の「お金事情」はどのようになっているのでしょうか。

本記事では、65歳以上の無職夫婦における、貯蓄額・年金月額・生活費の平均を見ていきます。

※2025年5月13日公表  調査対象:ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする、今年還暦を迎える1965年生まれの男女。2000サンプル

1. 【65歳以上の無職夫婦】生活費の平均はいくら?毎月「約3万4000円の赤字」

厚生労働省が2025年3月11日に公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職夫婦世帯では、毎月平均で「約3万4000円の赤字」が出ています。

1.1 【65歳以上の無職夫婦】家計収支(2024年)をチェック!

「毎月の実収入」25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金):22万5182円

「毎月の支出」28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
    • 諸雑費:2万2125円
    • 交際費:2万3888円
    • 仕送り金:1040円

■うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

毎月の家計収支

  • 3万4058円の赤字

65歳以上の無職夫婦世帯における「毎月の生活費の平均」を見てみると、収入は25万2818円で、そのうち約9割(22万5182円)が公的年金などの社会保障給付となっています。

その一方で、支出の合計は28万6877円、そのうち消費支出(いわゆる生活費)が25万6521円、非消費支出(税や社会保険料など)が3万356円です。

毎月の平均赤字は「3万4058円」となっており、不足分は貯蓄の取り崩しなどで補填していくことになるでしょう。

高齢者世帯は持ち家率が高い傾向にあるため、「住居費」は1万6432円と低くなっています。

そのため、賃貸住宅に住む場合は、家賃との差額を上乗せして考える必要があります。

なお、上記の支出項目には「介護費用」が含まれていません。

ライフスタイルに応じて必要な生活費は異なりますが、住まいや介護などの状況によって、前述した平均の生活費より多くなる方もいるでしょう。

そこで頼りになるのはやはり「貯蓄」です。

次は、65歳以上世帯の貯蓄事情をご紹介します。