3. 在職老齢年金の見落としがちな注意点

在職老齢年金の主な注意点は、以下の2点です。

  • 支給停止された分は再支給されない
  • 加給年金も停止される可能性がある

在職老齢年金で支給停止となった年金は、支給停止が解除されても支給されません。支給停止分が翌月以降に繰り越されるわけでもないため、納めた保険料に対して受け取れる年金が減り、損してしまいます。納めた保険料分の年金を受け取るには、労働収入による給与・賞与の金額を上手に調整しなければなりません。

また、加給年金の扱いにも注意が必要です。加給年金とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が65歳時点で生計を共にする配偶者や子どもがいる場合に、老齢厚生年金に上乗せされるお金です。

加給年金は、在職老齢年金により年金が一部支給停止となる場合は、全額支給されます。しかし、在職老齢年金で年金が全額停止される場合は、加給年金もあわせて全額停止となってしまいます。

年金が全額停止されるのは、年金額と「年金額-(年金額と1ヵ月あたりの給与・賞与の合計額-51万円)÷2」の差額が0以下になるときであり、相当高い給与・賞与額が必要です。とはいえ、年金全額停止の対象となると労働収入のみで家計をやりくりしていく必要があるため、十分注意しましょう。

次章では、在職老齢年金の撤廃の可能性について解説します。