2. 【65歳以上夫婦世帯】ひと月の生活費はいくら?年金だけで生活できている?
年金だけで、老後の生活費はどこまでカバーできるのでしょうか。ここでは、実際の生活費と年金収入を比べて、現実的な差を見ていきます。
2.1 65歳以上無職夫婦世帯の月の生活費
- 消費支出:25万6521円
- 非消費支出:3万356円
- 支出合計:28万6877円
消費支出の内訳は、以下のとおりです。
- 食料:29.8%
- 住居:6.4%
- 光熱・水道:8.5%
- 家具・家事用品:4.8%
- 被服及び履物:2.2%
- 保健医療:7.2%
- 交通・通信:10.8%
- 教養娯楽:9.9%
- その他:20.4%
- うち交際費:9.3%
支出の内訳を見ると、もっとも比率が高いのは食費で、全体の約3割を占めています。続いて多いのが交通・通信費(10.8%)と教養・娯楽費(9.9%)です。生活の質を維持しながらも、見直しや工夫によって節約できる部分を探していくことが大切です。
2.2 65歳以上夫婦世帯の標準的な年金額(2人分の合計)
2025年度の厚生年金モデル夫婦の例を見てみましょう。
厚生労働省が示す厚生年金のモデル夫婦(国民年金2人分を含む)の年金額は、2人分合計で月額23万2784円です。
※国民年金の満額は月額6万9308円(2025年度)
前述の生活費と照らし合わせると、年金だけでは月額約5万4000円の赤字となります。
節約に励んでも、赤字を回避するのは容易ではないでしょう。
平均値から求めた赤字であり、全ての世帯がこの通りではありませんが、いまのシニア世代の「ふつうの暮らし」が赤字になる点は見過ごせません。
現役時代に相応の貯蓄を準備しておけると、安心して老後を迎えられるでしょう。
3. 人生100年時代、ライフプラン&マネープランはさまざま
近年は、働くシニアが増加しています。
2024年時点の就業率は、65歳~69歳が53.6%、70~74歳が35.1%、75歳以上が12.0%。
2025年4月からは65歳までの雇用確保が義務化されました。70歳までの就業機会の確保も努力義務となり、シニアの働く環境は整いつつあります。
65歳になったら完全リタイアして年金生活をスタートする、65歳からは年金をもらいながら働く、年金の受給開始を遅らせて(繰下げ)フルタイムで働くなど、65歳からの暮らし方はさまざまです。
ライフプラン・マネープランを考えて、理想の老後を迎えられる準備を進めていきましょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)貯蓄の状況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 内閣府「令和7年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向」
マネー編集部