6. 知っておきたい年金の仕組み!年金は将来どう変わる?

日本の年金の支給額は「マクロ経済スライド」によって左右されています。少子高齢化が進む中、年金制度を将来にわたって持続させるための調整機能として導入されました。

聞き慣れない言葉ですが、年金額の自動調整を行うこの仕組みが、私たちの将来の生活にどのように影響するのか、基本から解説します。

6.1 マクロ経済スライドとは何か?

マクロ経済スライドとは、物価や賃金の変動に応じて、年金の支給額を自動的に調整する仕組みです。目的は、年金財政の安定を図り、将来的にも制度を維持できるようにすることです。

具体的には、物価や賃金が上昇しても、その伸び率から「スライド調整率」(=被保険者数の減少や平均寿命の延びなどを反映)を差し引くことで、年金額の増加を抑制します。

これにより、現役世代の負担を急激に増やすことなく、年金制度全体のバランスを保っています。

6.2 将来の年金額はどうなる?

マクロ経済スライドが続けば、将来の年金額は物価や賃金の伸びに対して緩やかに上昇、もしくは抑制されていくことになります。

政府は、現役世代・高齢世代のバランスや経済成長、就労参加の促進などにより、できるだけ年金水準を維持する方針ですが、物価上昇よりも年金額の伸びが抑えられる状況が今後も続く可能性があります。(出所:厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料」)

老後の生活を支える収入源として、年金だけでなく、個人の資産形成の重要性も増しています。

7. まとめにかえて

いまのシニア世代の年金受給額がどのくらいかを確認しました。現役世代の人たちはどのように感じたでしょうか。

前述のとおり、年金額は増額改定となります。近年の賃金や物価の変動により、今年度は「増額」の改定となりますが、「減額」になることも。

また、増額といっても物価上昇率には追い付かない仕組みになっている点には留意が必要です。目に見える数字は増えていても実質的には目減りとなるからです。

年金額が増えても、食費や光熱水費がそれ以上に増えたら、家計は厳しくなる一方です。

老後対策を進める際にはこうした背景も考慮して、厚めに老後資金を確保できるように計画・実行するのが理想でしょう。

参考資料

和田 直子