4. 誰でも対象になるとは限らない
さまざまな制度をご紹介してきましたが、これらの給付金や支援制度は、誰でも無条件に受け取れるわけではありません。
多くの場合、支給対象には「世帯年収」「扶養家族の有無」「障がいの有無」「年齢」「居住地」など、複数の条件が設定されています。
たとえば、同じ年齢でも、配偶者の収入や扶養義務者の有無によって支給の可否が分かれる制度も少なくありません。
また、制度ごとに定められた「基準日」や「申請期間」を過ぎてしまうと、そもそも申請できないケースもあります。
書類の不備や条件に合わない申請をしてしまうと、審査で却下されるだけでなく、時間や労力が無駄になってしまうことも。こうしたトラブルを避けるためには、事前に制度の概要をよく調べ、自分が条件を満たしているかを確認しておくことが重要です。
特に、高齢期には病気や介護などで判断力や行動力が落ちることもあるため、家族と一緒に情報をチェックするなど、早め早めの対応を心がけましょう。
またこうした制度は変更・改廃されることもあるため、最新情報を公的機関の公式サイトで確認する習慣が大切です。
5. まとめにかえて
厚生労働省が毎年発表する「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2023年度末現在の老齢年金の平均月額は、国民年金が5万7584円、厚生年金(国民年金を含む)が14万6429円です。
公的年金だけで長い老後生活を過ごすのは不安が大きいでしょう。
年金受給額は、現役時代の働き方や暮らし方で個人差があるものですが、前述の平均を下回る人は少なくありません。
すでに年金受給中のシニア、老後が目前に迫る60歳前後の人たちは、本記事でご紹介した給付金や手当などを活用しながら、家計の安定を図れると良いでしょう。
なお、こうした支援策は自治体単位でも設けられています。お住まいの市町村ホームページ等で、活用できるものがないか確認してみてください。
参考資料
- 厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」
- 厚生労働省「再就職手当のご案内」
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「か行 加給年金額」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
和田 直子