2018年11月5日に行われた、三菱ガス化学株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:三菱ガス化学株式会社 代表取締役社長 倉井敏磨 氏
2018年度 第2四半期 業績のポイント
倉井敏磨氏:三菱ガス化学株式会社、社長の倉井でございます。本日はお忙しい中、当社の2018年度第2四半期の決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。また日頃、弊社経営に対する厚いご支援、この場を借りて御礼申し上げます。
本日は、2018年度第2四半期決算と通期業績の予想に加えまして、11月1日の決算発表と同時に公表いたしました、サウジアラビアにおけるメタノール合弁事業の件についてもご説明いたします。
それでは早速ですが、4ページをご覧ください。はじめに、2018年度第2四半期業績のポイントについてご説明申し上げます。前年に比べて増収も、営業利益は減益となりました。ただし、持分法利益が貢献し、経常利益以下は増益を確保いたしました。営業利益段階ではプラス要因として、ポリカーボネート市況が前年同期を上回ったことや、特殊ポリカーボネートやBT材料等の販売が増加しました。
一方で、原燃材料価格の上昇や、高純度イソフタル酸の市況下落のマイナス要因が大きく、減益となりました。持分法利益は、メタノール市況の上昇等により増益となりました。また、前回公表いたしました業績予想との比較においては、持分法利益が増加したことから損益は上振れました。なお、中間配当につきましては、前年に比べ11円増配の35円となります。
2018年度 第2四半期 業績サマリー
5ページは、2018年度第2四半期の業績概要を示しております。売上高は3,283億円で、前期比254億円の増収。営業利益は289億円で、13億円の減益。経常利益では465億円で、45億円の増益。純利益は379億円で、24億円の増益となりました。
2018年度 第2四半期 営業外損益・特別損益
6ページをご覧ください。営業外損益・特別損益を示しております。持分法利益は67億円増加しております。メタノール市況の上昇を背景に、天然ガス系化学品カンパニーが60億円の増益となったほか、機能化学品カンパニーにおきましても、8億円の増益となっております。
2018年度 第2四半期 貸借対照表
7ページは貸借対照表になります。
2018年度 第2四半期 キャッシュフロー計算書
8ページには、キャッシュフロー計算書をご記載しておりますが、説明に関しては省略させていただきたいと思います。
2018年度 第2四半期 経常利益 増減要因
9ページをご覧ください。経常利益の増減要因を、対前年同期比で示しております。営業利益は特殊PC、BT材料、無機化学品の数量増加がプラス要因となったものの、原燃材料費の上昇や、高純度イソフタル酸(PIA)の市況価格の下落等のマイナス要因がプラス要因を上回り、減益となりました。一方で、持分法利益が増加したことから、経常利益は増益となっております。
2018年度 通期 業績予想のポイント
続いて、2018年度通期業績予想をご説明いたします。スライドの11ページをご覧ください。
まず、2018年度通期見通しの業績予想のポイントでございます。対前回予想では、営業利益は下振れを見込むものの、持分法利益の増額で、経常利益は上振れを予想しております。営業利益の主な下振れ要因は、PCの市況下落および原燃料費の上昇になります。経常利益では、高水準で推移しているメタノール市況等の影響により、上振れを見込んでおります。
対前年比でも営業利益は減益の見通しですが、持分法利益が増加する見通しであることから、経常利益は小幅な減益に留まる見通しです。期末配当については、前年および前回予想と同額の35円を予想しております。
2018年度 通期業績予想
12ページは、2018年度通期の業績予想の概要を示しております。売上高は、前回予想比200億円の増額となる6,600億円。営業利益は50億円減額の480億円。経常利益は40億円増額の790億円。当期純利益は10億円増額の620億円を予想いたしております。
2018年度 通期 経常利益予想 増減要因
13ページは、2018年度通期経常利益予想の増減要因を、対前回予想比で示しております。営業利益は、PC市況の下落や原燃料費の上昇等の価格要因のマイナスが大きく、50億円の減少です。しかし、持分法利益の増加で、経常利益は前回予想に比べて増加すると見ております。
株主還元方針・株主還元
14ページには、株主還元方針と株主還元を記載しております。今年度の年間配当は、前回発表どおり、前年に比べ11円の増配となる70円を予想しております。
サウジアラビアにおけるメタノール合弁事業について
続いて、11月1日の決算発表と同時に公表いたしました、サウジアラビアにおけるメタノール合弁事業の件についてご説明いたします。当社の持分法適用子会社である日本サウジアラビアメタノール社……通称JSMC社と申しておりますが、SABIC社と折半出資で、1980年にAR-RAZIを設立し、サウジアラビアにおけるメタノール合弁事業を行っております。
合弁企業の契約期限は今月29日までであり、JSMCとSABICは、現行の契約の延長を基本認識として交渉を重ねてまいりました。
しかしながら、現時点で最終合意ができていない状況でございます。現在、JSMCは出資比率の変更や合弁解消を含め、あらゆる可能性を視野に入れて交渉を進めております。現在も協議中の状況でございますので、本件が連結業績に与える影響は現時点で未定であり、先ほどご説明した連結予想には織り込んでおりません。
また、現時点では交渉中のため、開示できる内容が極めて限定的でございますが、交渉が決着し、ご説明できる状況になりましたら、当社においても速やかに開示させていただく予定であります。
セグメント別 連結 売上高・営業利益・経常利益推移
続いて、セグメント別の業績概要についてご説明したいと思います。17ページには、セグメント別の売上高・営業利益・経常利益を示しております。
天然ガス系化学品
天然ガス系化学品についてご説明いたします。上期業績は、メタノール市況が408ドル/MTと高い水準で推移しました。営業利益は原料高があったものの、メタノール、MMA系製品の市況上昇等により増益となりました。持分法利益は、メタノール市況の上昇、ブルネイ メタノール社の数量差等により増益となっております。下期につきましても、メタノール市況は、引き続き高水準での推移を予想しております。
営業利益は、新潟工場の修繕費増加やMMA製品の市況下落等により、上期に比べて減益を見込みます。持分法利益では、メタノール市況が上期に比べて下落し、減益を予想しますが、高い水準で続く見通しとしております。
芳香族化学品
芳香族化学品セグメントについてご説明いたします。上期実績は、メタキシレンジアミン(MXDA)、MXナイロン、芳香族アルデヒド等の特殊芳香族については、原燃料費が上昇したものの、販売は堅調に推移し、増収増益となりました。高純度イソフタル酸(PIA)は、スプレッド縮小で減益となりました。発泡プラスチック(JSP)の原燃料価格の上昇等により、減益となっております。
下期につきましては、特殊芳香族は引き続き堅調な販売が見込まれますが、原燃料比の上昇が利益圧迫要因となり、上期に比べ減益の見通しを行っております。高純度イソフタル酸(PIA)は、上期に比べ、スプレッド縮小を予想しております。加えまして、水島工場の定期修繕もあることから、単体は上期に比べて利益は減少する見込みです。JSPにつきましては、販売価格への転嫁等を見込み、収益は改善する見通しです。
機能化学品
次に、機能化学品セグメントについてご説明いたします。上期実績は、無機化学品の販売数量が増加したものの、エレクトロニクスケミカル事業の競争環境の激化等により、減益となりました。PCは、第2四半期に市況が急落したものの、上期としては前年を上回り増益となりました。特殊PCは、スマートフォンのデュアルレンズ化の拡大等を背景に、販売数量が増加いたしました。
PCシートフィルムは、車載向けは好調に推移したものの、フラットパネルディスプレイ向けが減少いたしました。下期につきましては、無機化学品はエレクトロニクスケミカル事業の厳しい競争環境が継続する見通しです。
またPCは、PC-BPAスプレッドが低い水準で推移すると予想し、中国拠点での減益を見込んでおります。一方で、特殊PCの販売数量は引き続き好調に推移する見通しです。PCシートフィルムは、フラットパネルディスプレイ向けの需要は弱いものの、車載向けは伸長する見込みでございます。
特殊機能材
続きまして、特殊機能材についてご説明いたします。上期実績は、電子材料が主力の半導体パッケージ向けBT材料がメモリー分野で好調であったことなどから、増収増益となりました。脱酸素剤は、国内市場における競争や海外顧客の在庫調整の影響等により、減益となっております。
下期につきましては、電子材料はメモリーを中心に需要は安定しているものの、映像信号処理チップ向けの在庫調整やスマートフォンの伸び悩みを見込み、上期に比べて減益の見通しでございます。脱酸素剤は季節要因で増加する見通しであることから、増益を見込みます。
以上が、決算および業績についてのご説明となります。
本年度は、新中期経営計画「MGC Advance2020」の初年度にあたります。本日、今までご説明しましたとおり、今年度に入り市況の下落や原燃料高が進み、特にポリカーボネートのスプレッドなどは、中期経営計画で策定していました以上のスピードで縮小しております。
また、サウジアラビアのメタノールの合弁事業につきましては、先ほどの説明のとおり、現時点でもあらゆる可能性を視野に入れ、交渉を行っております。
このような状況ではございますが、特殊ポリカーボネートや特殊芳香族など、当社の独自技術により堅調な販売を見込んでいる事業も多数ございます。今後も、中核事業の収益力の強化、新規事業の創出と育成など、中期経営計画に掲げた施策を着実に進め、外部環境の変化に対応できる、安定した収益構造の強化に一層注力していきたいと思います。
引き続きご支援のほど、よろしくお願いします。私からの説明は以上になります。ありがとうございました。