2024年は新NISAの登場によって資産運用を始めた人が増加した年と言われています。

預貯金の一部を資産運用に振り分けた方、貯蓄を辞め資産運用のみされている方、貯蓄のみされている方など、さまざまでしょう。

そんな状況下でも日本人は預貯金の割合が多い傾向にありますが、「貯蓄額」は家族・親族などの近しい関係でもなかなか話しづらい内容の一つです。

本記事では65歳以上「無職夫婦世帯」の平均貯蓄額について解説をしていきます。

65歳以上の収入源は一般的に「年金」になりますが、年金だけで老後生活を送ることができない世帯は貯蓄した預貯金を切り崩しながら生活する世帯もあるでしょう。

2024年11月24日に厚生労働省が示した資料において、専業主婦以外の世帯のモデル年金額も公表されました。こちらの資料も確認しながら、年金と貯蓄のバランスについて考えていきましょう。

1. 65歳以上・無職夫婦世帯はどのくらい貯蓄してる?

総務省統計局が公表する「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」の資料から、65歳以上の無職夫婦世帯における平均貯蓄額は以下のようになることが判明しました。

【写真1枚目/全5枚】65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額。では勤労世帯も含む平均はいくら?次の写真をチェック

【写真1枚目/全4枚】65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額。では勤労世帯も含む平均はいくら?次の写真をチェック

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」

2023年の65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額は「2504万円」です。世間では老後2000万円問題が議論される中、平均的には2000万円台の貯蓄があることが分かります。

次に、平均貯蓄額の推移についても見ていきましょう。

1.1 【65歳以上・無職夫婦】平均貯蓄額は近年増加中

  • 2018年:2233万円
  • 2019年:2218万円
  • 2020年:2292万円
  • 2021年:2342万円
  • 2022年:2359万円
  • 2023年:2504万円

65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額は、2020年までは2200万円台にとどまっていましたが、2021年には2300万円台へと上昇し、2023年には2500万円を突破しました。

年金を負担する現役世代が減り年金を受け取るシニア世代が増えたことで、年金財政の不安定化が心配されています。そのため、年金だけに頼らずに、老後に向けて貯蓄を増やす方が増えたのではないかと考えられます。

また、昨今では銀行預金以外の保有資産が増えていることにも注目すべきです。

そこで、65歳以上・無職夫婦世帯の保有資産の内訳についても確認していきましょう。

1.2 【65歳以上・無職夫婦】保有資産の内訳は?

  • 有価証券:480万円
  • 生命保険など:413万円
  • 定期性預貯金:846万円
  • 通貨性預貯金:754万円
  • 金融機関外:11万円

2023年度における保有資産の合計額2504万円のうち、最も割合が多いのは「定期性預貯金」の846万円でした。ただし、前年度からの推移で見ると、金額は▲19万円減少しています。

一方、「有価証券」の内訳は480万円にとどまってはいるものの、前年度と比べると+80万円と金額が大きく増えています。

近年、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)など、非課税で投資を行える制度が充実してきていることも有価証券の割合が増加してきている理由の一つだと考えられます。

2024年1月からは新NISAもスタートしたため、世間の「貯蓄から投資へ」の動きはますます加速していくことでしょう。

ここまでは、無職夫婦世帯の貯蓄額について確認しましたが、65歳以上でまだ働くことを考えている方もいるはずです。

そこで、65歳以上の「勤労世帯も含む」貯蓄額についても見ていきます。