1. 申請することで年金を増やせる制度4選
まずは、申請により年金受給額を増やす方法について4つ解説をしていきます。
1.1 年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金とは、老齢・障害・遺族いずれかの年金を受給している人のうち、所得の低い方を対象に支給される給付金です。
年金だけでは生計を立てるのが厳しい人たちへの経済的支援のために作られた制度です。
この給付金を受け取るためには、年金の受給と合わせて(受給開始のタイミングが異なる場合は別途で)申請をする必要があります。
例えば、老齢年金を受給している人であれば、最高で月額5450円、年額にすると6万5400円が上乗せされる可能性があります。
該当する可能性がある場合には、申請ができているかを確認するようにしましょう。
1.2 加給年金
加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある年金受給者で、65歳到達時に生計を維持している配偶者や18歳未満の子どもがいる場合に支給されます。
対象が配偶者の場合、基本となる加給年金額として年額23万9000円が支給されます。
さらに、年金受給者の生年月日によっては、特別加算として最大で年額17万6600円が追加で支給されます。
この制度を利用するためには、基礎年金とは異なり「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」を提出する必要があります。
必要書類には、住民票や戸籍謄本、収入証明書などがあります。
1.3 振替加算
振替加算とは、一定の条件を満たす配偶者が加給年金の打ち切り後に受け取れる制度です。
具体的には、配偶者が「大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれていること」など、特定の条件を満たす必要があります。
振替加算は老齢基礎年金に上乗せされ、一生涯受け取ることができます。
基本的に自動で支給が開始されますが、年上の配偶者が先に老齢年金を受給しており、あとから夫が65歳になって年金を受給開始する時など、申請が必要な場合もあるので、対象となっている場合には上乗せで支給がされているか確認をしましょう。
受給額は生年月日により異なり、年齢が若くなると減額されます。
1.4 年金の繰下げ受給
現在、日本では基本的に65歳から年金の支給が始まりますが、受給開始を遅らせることで受給額を増やすことが可能です。
年金の繰下げ受給は、1ヶ月あたり0.7%の増額となり、最長75歳まで繰下げが可能なため、年金額を最大で84%増やすことができます。例えば、月額15万円の年金を受け取る人が75歳まで繰下げをすると、受給月額は約27万6000円となります。
しかし、繰下げ期間中は年金を受け取れず、一度選択すると取り消すことができないため、健康状態や家計状況などを考慮して慎重に判断することが必要です。