平均寿命が徐々に上昇し、物価高が続く昨今、老後の経済的な不安は誰もが抱える重要な課題となっています。
2024年の高齢者の経済生活に関する調査では、調査対象である60歳以上の男女の47.1%が「収入や貯蓄が少ないこと」に経済的な不安を感じており、これは2019年の25.8%を大きく上回っています。
年金制度には、基礎となる年金額以外にも、様々な上乗せ制度が用意されています。しかし、制度の内容が多岐にわたるため、どのような制度があるのか、また自身が申請資格を持っているのかわからないという声も多く聞かれます。
本記事では、年金受給において申請や加入により受け取ることができる給付金や上乗せ部分について、わかりやすく解説していきます。
1. 申請することで年金を増やせる制度4選
まずは、申請により年金受給額を増やす方法について4つ解説をしていきます。
1.1 年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金とは、老齢・障害・遺族いずれかの年金を受給している人のうち、所得の低い方を対象に支給される給付金です。
年金だけでは生計を立てるのが厳しい人たちへの経済的支援のために作られた制度です。
この給付金を受け取るためには、年金の受給と合わせて(受給開始のタイミングが異なる場合は別途で)申請をする必要があります。
例えば、老齢年金を受給している人であれば、最高で月額5450円、年額にすると6万5400円が上乗せされる可能性があります。
該当する可能性がある場合には、申請ができているかを確認するようにしましょう。
1.2 加給年金
加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある年金受給者で、65歳到達時に生計を維持している配偶者や18歳未満の子どもがいる場合に支給されます。
対象が配偶者の場合、基本となる加給年金額として年額23万9000円が支給されます。
さらに、年金受給者の生年月日によっては、特別加算として最大で年額17万6600円が追加で支給されます。
この制度を利用するためには、基礎年金とは異なり「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」を提出する必要があります。
必要書類には、住民票や戸籍謄本、収入証明書などがあります。
1.3 振替加算
振替加算とは、一定の条件を満たす配偶者が加給年金の打ち切り後に受け取れる制度です。
具体的には、配偶者が「大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれていること」など、特定の条件を満たす必要があります。
振替加算は老齢基礎年金に上乗せされ、一生涯受け取ることができます。
基本的に自動で支給が開始されますが、年上の配偶者が先に老齢年金を受給しており、あとから夫が65歳になって年金を受給開始する時など、申請が必要な場合もあるので、対象となっている場合には上乗せで支給がされているか確認をしましょう。
受給額は生年月日により異なり、年齢が若くなると減額されます。
1.4 年金の繰下げ受給
現在、日本では基本的に65歳から年金の支給が始まりますが、受給開始を遅らせることで受給額を増やすことが可能です。
年金の繰下げ受給は、1ヶ月あたり0.7%の増額となり、最長75歳まで繰下げが可能なため、年金額を最大で84%増やすことができます。例えば、月額15万円の年金を受け取る人が75歳まで繰下げをすると、受給月額は約27万6000円となります。
しかし、繰下げ期間中は年金を受け取れず、一度選択すると取り消すことができないため、健康状態や家計状況などを考慮して慎重に判断することが必要です。
2. 【第1号被保険者向け】国民年金に上乗せできる制度2選
次に、自営業やフリーランスといった国民年金の第1号被保険者が利用できる、年金受給額に上乗せして受給ができるお金の制度を2つご紹介します。
2.1 付加年金
付加年金は、厚生年金に加入しないため老後の年金額が少なくなる第1号被保険者が、将来の年金額を補うために設けられたもので、国民年金の上乗せ制度です。
国民年金の加入期間に月額400円の追加納付を行うことで、将来の老齢年金に「200円×納付月数」が上乗せされます。例えば、40年間納めると、年間9万6000円が追加支給されます。
付加年金の納付を希望する場合「国民年金付加保険料納付申出書」に記入して自治体や年金事務所に提出します。
なお、国民年金保険料の免除を受けている人や、次に説明をする国民年金基金の加入者は利用できない点に注意が必要です。
2.2 国民年金基金に加入をする
国民年金基金は、付加年金と同じく第1号被保険者が年金を増やすための制度です。
加入することで、基礎年金とは別に一定の年金額を受け取ることができます。
掛け金は全額が社会保険料控除の対象となるため、所得税法上のメリットも受けられます。
最高で月額6万8000円まで掛け金を選ぶことができ、将来の受給額は加入期間と掛け金額により決定されます。
加入をするためには、国民年金基金の公式ウェブサイトから資料を取り寄せ、必要書類に記入して申し込みます。
3. おわりに
今回は、年金受給の際に活用可能な増額制度について解説しました。
年金額を増やす方法として、自動的に上乗せされるものや、条件を満たすことで得られるものがあります。
制度を理解することで、自身の年金について再確認し、必要な手続きを把握できます。
紹介した制度を参考に、自身の年金額を試算し、老後の収支を見直すきっかけにしてください。
老後資金の計画に不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも効果的です。
現状と未来の収支を把握することで、老後の経済的な不安を少しでも軽減していきましょう。
参考資料
斎藤 彩菜