「厚生年金は手厚い」と聞いたことがある人もいるでしょう。厚生年金は国民年金に上乗せして加入する仕組みとなるため、老後には「国民年金+厚生年金」を受けとることになります。そのため、「国民年金のみ」を受給する人より年金額が高い傾向にありますが、年金加入状況(期間・年収)が影響するため、必ずしもそうとはいえません。
厚生労働省の資料によると、2023年度末現在の厚生年金(国民年金を含む)の平均月額は14万6429円です。しかし、男女別に見ると、男性は月額16万6606円、女性は月額10万7200円と約6万円もの差があります。
現役時代の働き方・過ごし方でこのような「差」が生じるのですが、なかには「月額30万円以上」を受けとる「高額受給者」がいるという話も。
現役シニアで「月額30万円以上」の高額受給者はホントに実在するのでしょうか。確認していきます。
1. 公的年金《国民年金・厚生年金》仕組みをおさらい
老後の生活設計において重要なのは、公的年金制度をしっかり理解し、老後に受け取る年金の種類を確認しておくことです。
日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2つの部分から成り立っており、これらは「2階建て」の構造として組み立てられています。
以下の図のように、基本的な仕組みを理解しておけると良いでしょう。
1.1 国民年金(1階部分)の概要をおさらい
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入することが義務付けられています。
保険料は一律で、納付した期間に応じて将来受け取る老齢基礎年金の金額が決定します。
1.2 厚生年金(2階部分)の概要をおさらい
厚生年金は、公務員やサラリーマンなどが加入する制度で、加入者は自身の収入に基づいて保険料を納めます(上限あり)。
将来受け取る老齢厚生年金の額は、納付期間や保険料の支払い額によって決定されます。
個々の状況によって加入している年金や納付期間が異なるため、受給額には「厚生年金の上乗せ部分」が大きな影響を与えます。
2025年度時点で、国民年金のみ加入している人の場合、満額は月額6万9308円であり、国民年金のみで月額30万円を達成するのは現実的ではありません。
では、厚生年金に加入している人の中で、実際に月額30万円以上の年金を受け取っている人はどの程度いるのでしょうか。