いわゆる「年収の壁」の撤廃や引き上げなどが検討される中、これまで配偶者の扶養の範囲内で働いてきた方の中には、壁を気にせずに働こうと考えている方もいるでしょう。厚生年金保険に加入することで、将来の年金受給額を増やせるため、老後資金の準備にも役立ちます。
では、厚生年金保険に加入して働くと、どのくらい年金額を増やすことが可能なのでしょうか。
本記事では、厚生年金受給額の計算方法を解説するとともに、50歳から厚生年金保険に加入して年収180万円稼いだ場合、年金がいくら増えるのかをシミュレーションしていきます。
1. 厚生年金受給額の計算方法
シミュレーションに入る前に、まずは厚生年金受給額の計算方法を確認しましょう。
厚生年金受給額は、「報酬比例部分」に「経過的加算額」と「加給年金額」を加えた金額です。
厚生年金受給額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
1.1 【報酬比例部分】
報酬比例部分は、老齢厚生年金や障害厚生年金、遺族厚生年金の給付において、年金額の計算のベースとなるものです。平成15年3月以前と平成15年4月以降の加入期間に分けて計算し、両方を合計します。
報酬比例部分=A+B
A:平成15年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数
B:平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数
1.2 【経過的加算】
経過的加算は、20歳前や60歳以降に厚生年金に加入していた場合に、厚生年金に上乗せして支給されるものです。
1.3 【加給年金額】
加給年金額は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が、65歳到達時点に生計を維持している配偶者や子どもがいるときに加算されるものです。
この計算式を用いて、厚生年金受給額を計算します。