2025年度の老齢年金「国民年金・厚生年金」は、前年度から1.9%の増額が決定しています。
具体的な数字で見てみましょう。厚生労働省が公表している2025年度の年金額の例は以下のとおりです。
6月に支給される4月分・5月分から、「年金収入が増える」ことになります。
また、低所得の年金受給者が対象となる「年金生活者支援給付金」も増額が決定しています。
年金生活者支援給付金という制度をここで初めて見聞きした人もいるでしょう。本記事では、年金生活者支援給付金がどのような制度かを解説していきます。支給要件や給付額についても確認しておきましょう。
1. 「年金生活者支援給付金」とはどのような制度?
「年金生活者支援給付金」とは、公的年金を含めても所得が一定基準額以下となる人を対象とする給付金です。2カ月に一度の年金支給日に、公的年金へ上乗せして受け取ることができます。
年金生活者支援給付金は、受給中の年金種類に合わせて3種類あります。
1.1 年金生活者支援給付金は3種類
- 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
それぞれの支給要件などを確認しましょう。
2. 「年金生活者支援給付金」の対象者とは?支給要件を確認
それぞれの年金生活者支援給付金について、支給要件を見ていきます。
2.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
-
前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金(※3)」が支給されます。
※3「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは?
老齢年金生活者支援給付金は、一定の所得以下の年金受給者に向けた制度ですが、基準額を少しでも超えると給付対象外となり、基準額ギリギリで給付対象となる人よりも総所得が低くなる逆転現象が起こる問題がありました。
この不公平を解決するために「補足的老齢年金生活者支援給付金」が設けられています。補足的老齢年金生活者支援給付金は、所得が基準額を超えても一定範囲内であれば受給でき、所得が増えるにつれて給付額は減少するしくみとなっています。
2.2 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
2.3 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
それぞれの給付金において、上記の要件をすべてを満たす場合に「年金生活者支援給付金」の支給対象に該当します。
次では、1月に公表された2025年度の年金生活者支援給付金の給付額についても見ていきましょう。
3. 【6月支給分から】年金生活者支援給付金制度の給付額は2.7%引き上げ!月額いくら?
公的年金(国民年金・厚生年金)と同じく、年金生活者支援給付金制度の給付額は毎年度改定されます。
2025年度分は、前年の物価変動率に基づき2.7%の引き上げとなりました。
3.1 【2025年度】年金生活者支援給付金の給付額
年金生活者支援給付金の給付額

- 老齢年金生活者支援給付金:基準額:月額5450円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円
ただし、老齢年金生活者支援給付金については、上記の基準額をもとに保険料納付状況(※保険料納付済期間や免除期間)に応じて計算されます。実際に受け取る金額には個人差が出る点は留意が必要です。
支給要件を満たすと、月額で最大約5000円、1回の年金支給で最大約1万円、年額にすると最大約6万円が、年金に上乗せされることになります。
ただし、この「年金生活者支援給付金」を受け取るためには手続きが必要です。次で見ていきましょう。
4. 【手続きが必須!!】年金生活者支援給付金の申請方法は?
年金生活者支援給付金の受給には、申請手続きが必要です。
対象となる人にはお知らせを兼ねた請求書が届きますが、これを提出しないと「1円も」受け取ることができません。
現在の年金状況により日本年金機構から届く書類は違います。ここでは「これから老齢年金の受給をスタートする人」と「すでに年金を受給している人」の2パターンを解説します。
4.1 パターン1:これから老齢年金の受給をスタートする人
これから年金の受給を開始する人が、年金生活者支援給付金の支給対象となった場合は、老齢基礎年金の請求書に給付金請求書が同封されます。
給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出しましょう。
なお支給要件に該当するか確認できない場合には、上記の「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」とともに、所得情報等を確認するための所得状況届が送られてきます。
4.2 パターン2:すでに年金を受給している人
すでに年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合、 毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。
請求書の指定部分に必要事項を記入し、切手を貼って返送しましょう。
なお、年金を繰上げ受給中の人には上記とは異なる様式の書類が届きます。
いずれの場合も、申請手続きを一度おこなうと、翌年度以降は基本的に手続き不要で受給が可能となります。支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。
5. 【老齢年金】いまのシニアの受給額「国民年金・厚生年金」月額いくら?
ここからは厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、国民年金と厚生年金(※)の受給額を見ていきます。
※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。
5.1 【一覧表】60歳~90歳以上《国民年金・厚生年金》全体・男女別の平均はいくら?
国民年金の平均月額
- 全体 5万7584円
- 男性 5万9965円
- 女性 5万5777円
厚生年金の平均月額
- 全体 14万6429円
- 男性 16万6606円
- 女性 10万7200円
国民年金のみの受給権者は、全体、男女別ともに平均月額は5万円台。満額受給の場合でも7万円弱です。一定の要件を満たす場合、老齢年金生活者支援給付金の支給対象となります。
一方、厚生年金の受給権者の場合、平均月額は全体で14万円台でした。国民年金のみの受給権者と比較すると受給額は高めですが、男女別に見ると、男性は16万円台、女性は10万円台と大きな開きがあります。
また、厚生年金の受給額は個人差が大きいです。月額3万円未満から、25万円超まで、幅広い受給額帯に分布しています。
受給額次第では、厚生年金を受け取る場合でも老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる可能性はあるでしょう。
6. 【年金の基本】年金の支払スケジュールは?
年金はどのようなスケジュールで受け取ることができるのか、ご存じでしょうか?ここでは、「年金」にまつわる疑問について、解説します。
6.1 Q 年金はいつ支払われますか。毎月でしょうか。
→A 年金は、原則年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。
年金は原則として偶数月の15日に、前月までの2か月分が支払われます。15日が土日祝日の場合は、直前の平日に支払われます。
年金支払スケジュール
- 2月:12月・1月分
- 4月:2月・3月分
- 6月:4月・5月分
- 8月:6月・7月分
- 10月:8月・9月分
- 12月:10月・11月分
受け取り方としては、ご自身が指定した口座振込または、ゆうちょ銀行窓口での受け取りの2種類の方法があります。
受け取り方法
- 口座振込:指定の金融機関口座に自動振込されます
- ゆうちょ銀行窓口:年金送金通知書記載の窓口で受け取ります
7. まとめにかえて
本記事では、年金生活者支援給付金について解説しました。
対象者には日本年金機構から案内が届きます。これから基礎年金を受給する人、すでに基礎年金を受給している人で、申請書が届くタイミングが異なりますのでご留意ください。
なお、対象者であっても申請書を提出しなければ年金生活者支援給付金を受け取ることはできません。
低所得の年金受給者をサポートする目的で創設された本制度。対象者にとって大切な収入源となりますので、制度内容を理解し、忘れず申請しましょう。





