2018年10月30日に行われた、マクセルホールディングス株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:マクセルホールディングス株式会社 代表取締役社長 勝田善春 氏
決算のポイント:全社
勝田善春氏:2018年度第2四半期の決算の概況についてご報告申し上げます。決算のポイントでございます。
売上高は前年比3パーセント減、24億円減の706億円、営業利益は41パーセント減、19億円減の27億円、当期純利益は20億円減の21億円です。当期間の為替レートは110円で、前年同期に比べて1円高でございます。
売上偏差(2017年度第2四半期→2018年度第2四半期)
売上の偏差についてです。前年の730億円に対しまして数量差異がございました。主に民生用のLIB、エステ家電等の落ち込みによるもので、それを組込みシステムで若干カバーしましたが、33億円の減収となりました。さらに価格差異で4億円の減となりましたが、ポートフォリオ変革、為替差異により、(前年から)24億円減の706億円になっております。
利益偏差(2017年度第2四半期→2018年度第2四半期)
利益偏差についてです。(前年同期)46億円に対しまして、先ほどの数量に関する差異が12億円、それから成長戦略投資等で8億円。これらはラミの立ち上げ、事業開発等の開発費の増によるものでございます。それから原材料費の高騰で5億円、価格差異で4億円といった減少要因に対しまして、ポートフォリオ変革、原価低減ということで10億円カバーしまして27億円となりました。前年から19億円の減でございます。
決算のポイント:セグメント別 (エネルギー)
セグメント別の決算のポイントについてです。エネルギー関係では、売上高が221億円から20億円減の201億円となりました。下にあるコメントのとおり、自動車市場向けのコイン形リチウム電池、スマートメーター向けの筒形リチウム電池について、増収がございました。また、特機事業が加わり増収となりましたけれども、リチウムイオン電池の減収が響いたため、20億円減となっております。
営業利益については、コイン形リチウム電池は堅調でございましたが、民生用のリチウム電池の減少が大きく影響したということで18億円、利益率9パーセントといった結果となっております。
決算のポイント:セグメント別 (産業用部材料)
産業用部材料関係については増収減益となっております。売上高は前年同期から7億円のプラスになりました。これは昨年途中から当社に入りました組込みシステムや粘着テープ等が増収に寄与したためです。
営業利益につきましては、LEDヘッドランプレンズは堅調でしたが、事業の開発といいますか、有機ELパネル用マスクの量産化に向けたコスト増などが響きまして、1億円の減ということで14億円、5.6パーセントという内容でございます。
決算のポイント:セグメント別 (電器・コンシューマー)
電器・コンシューマー向けにつきましては、減収減益となっております。11億円の減収となっており、(要因としては)エステ家電およびコンシューマー向けの製品で減収になっていることが挙げられます。また、プロジェクターに関しましてはやや底を打ったというような見え方をしております。
営業利益につきましては、エステ(家電)、コンシューマー向け(製品)での減益、事業開発費が影響しまして、9億円の減ということで、6億円の損失といった内容となっております。
2018年度の業績見通し
2018年度の業績見通しの修正でございます。4月に発表いたしました全見通しに対しまして、売上高は、1,520億円をキープしております。営業利益は前回差が30億円ということで、60億円に訂正をさせていただきました。当期純利益につきましては10億円の減ということで、49億円となっております。
設備投資額、減価償却費、研究開発費等における今期の第2四半期の累計につきましては、資料のとおりでございます。通期の見通しについては当初の見込みをそのまま維持しております。なお、中間期の配当は18円、年間の配当は36円の予定で、変えておりません。
セグメント別見通し
セグメントの見通しでございます。エネルギー関係につきまして、対前回で申し上げます。売上高は63億円減の393億円、営業利益は20億円減の24億円とさせていただきました。主な原因は、下のコメント欄に対前回比で書いてありますとおり、民生用リチウムイオン電池の販売減の影響が大きく出る見込みでございます。
産業用部材量に関しまして、売上高は7億円の増収で、利益は8億円減となりました。原材料コストの増加による影響、新製品の量産化に向けた開発費の計上などが響いた結果でございます。電器・コンシューマーに関しまして、売上高は56億円の増収、利益は前回比2億円の減となりました。
エステ家電およびその他のコンシューマー向けの販売不振はございますが、新規MBPによる増加ということで、売上高は増収です。下期につきましてはこのセグメント、プロジェクターの回復も若干見られるということで、少しがんばった内容ではございますけれども、通年といたしましては2億円の減少というような内容になっております。
利益偏差(2018年度通期 前回見通し→今回見通し)
利益偏差についてです。(前回見込み)90億円から(今回見込み)60億円と、30億円の差が出ております。民生用のLIBで19億円、それから成長投資で7億円、エステ家電の減益で9億円、MBPで5億円のプラスということで、60億円とさせていただいております。
ここまでが第2四半期の決算のポイントでございます。ここからは、こういった業績の見通し修正をして、どうやって今年発表させていただいた中期経営計画を達成に持っていくんだ、という点について少しお話しさせていただきたいと思います。
業績悪化の原因
このグラフには業績悪化の原因について少し触れてございます。2018年は右から2つ目のグラフです。青い部分が黒字事業、赤い部分が赤字事業ということです。昨年(2017年)から、こういった黒字・赤字のバランスの中で、決算は88億円という営業収益を記録できました。
今年は60億円という見込みで、青い部分が減りましたという内容でございます。こちらは、先ほどから申し上げているとおり、LIBについて、当初の計画より(売上が)落ちたことが大きな原因でございます。
LIBに関しましては、2019年以降は、昨年あるいは今年少し見込んでいましたゲーム機用途を、大きく見込んでおりません。ラミネートの立ち上げ、あるいは推進中の用途開発を加速することで、2020年に向けて進めてまいりたいと思っています。
2017年はこの部分について、非常に大きく出ていましたが、実は2018年の計画の中では若干の下振れの想定もしておりました。その想定の対策につきましては、この赤の部分に40億円と書いてありますが、こういった部分を大きく縮める計画でした。
その部分に該当するプロジェクター、それから理美容、エステ家電といったものについて、OEM事業の大不調により、販売・設計・製造が離れてしまいました。まだまだ改革ができていない段階で、これを大改革してまいりたいと思っています。
プロジェクターにつきましては、下期に向け新光源投入等が加わり、少し改善効果が出てまいりました。この年度で見通している40億円強の部分を、新規事業開発といった意味のある赤字の範囲にとどめるということで、進めていきたいと考えております。
横に書いてあるように、2018年度は民生用LIBが大きな減益要因となりました。プロジェクターとエステ家電の苦戦もあり、挽回が遅れていることがこの下方修正の根本的な原因と考えています。
2019年度からはマクセルブランド、それから特徴ある新製品の導入を計画して、合わせて改善を図ってまいります。また、2020年に向けて、マクセルビジネスプラットフォームの積極推進とオーガニック事業の拡大を進めてまいりたいと思います。
喫緊の課題とアクション(進捗)
これは4月・5月の中計の今期の見通しの中でも申し上げた、喫緊の課題とアクションでございます。プロジェクターとエステ家電につきましては、既存OEM事業が苦戦しております。
販売サイドでは売価ダウン、シェアダウンといったものが大きく起こっていること、お客さんと離れてしまった関係で、顧客ニーズに沿った製品の開発が遅れてしまったことが大きな原因と見ています。
ラミネートLIBに関しましては、軽量化による量産立ち上げを急いで、まだちょっと遅れています。急いでやり遂げるとともに、付加価値用途に向けた開発をこれから加速していきます。
マクセルブランド事業への転換
マクセルブランド事業への転換でございます。来年から、これが一番大きな効果を生み出すと思っています。マクセルブランドの投入を行って、直接販売体制を開始していきたいと思っています。
商品開発に関しましては、営業・設計が直接お客さんを訪問して、市場ニーズをきっちりキャッチアップして共有いたします。また、お客のそういった声を技・製・販一体でスピードアップしてレスポンスしていきます。そして、直販体制にすることで中間マージンを当社の中に取り込みます。こういったことを進めてまいります。
プロジェクターにつきましては、全製品の新光源化を進めております。すでに下期から効果が出つつあると申し上げていますように、これを行うことで販売価格を上げることができつつあります。こういった独自設計の競争力ある新製品を全ラインに投入していくとともに、不採算モデルのディスコン・モデルの統合といった収益重視の商品ラインナップに、きっちりと変えていきたいと思っています。
エステ家電につきましては、今年秋に、オンリーワン製品を発売し、マクセルブランドを投入いたします。マクセルブランドにつきましては、プロ用・B2Bといった付加価値の高い新ルートを強化してまいりたいと思います。さらに、10月から当社の中にグループとして加わった泉精器の家電部門と量産モデルについて、泉ブランド・OEMブランドも活かしながら、設計・生産集約といったシナジーの創出を進めてまいりたいと思っています。
増益への筋書き(2018年度見通し → 2020年度計画)
これらを数字に置き換えた増益への筋書きということで、(2018年度見通し)60億円から(2020年度計画)150億円と、大きなジャンプアップをこの図に示しています。
エネルギー部門における主な取り組みとしまして、マイクロ電池13億円、蓄電池5億円、LIBその他含めて31億円。産業用部材料、光学部品・粘着テープ・組込みシステム・その他新製品も入れまして22億円。電器・コンシューマー、プロジェクター、エステは資料のとおり(増益)ですが、他のコンシューマ-製品につきましては若干の減益を予想して、16億円としております。
MBPにつきましては、今期予定していなかった部分を、今期以降のものを含めまして21億円増とし、合わせて(2020年度計画は)150億円としました。大きなギャップはございますが、(そのギャップを)確実に埋めていきたいと思っております。
マクセルビジネスプラットフォーム(MBP) アップデート
最後に、マクセルビジネスプラットフォームのアップデートについてです。「共創共栄」で強い企業集団を作ってまいります。それから、シナジー効果で既存事業も大きく伸ばしてまいります。
こういった目標のもと、8月に発表させていただきましたように、10月から当社グループに参画した泉精器製作所につきましては、電設工具、理美容家電といったもので、電器・コンシューマー・エネルギーとのシナジーを非常に重視した内容で貢献していただこうと思っています。
それから、本日発表いたしましたクレハエラストマーは、工業用ゴム製品の製造加工・販売を手がけておりまして、当社が持たないゴム系の部品・厚手のシートといったものの製造・量産技術を持っています。これから計画する新しい商品の開発も、この会社とのシナジーの中で大きな効果を期待して、来年の1月から当社のグループに入っていただくということで発表させていただいています。
以上でございます。