政府は2024年11月22日の臨時閣議で、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を決定しました。
ポイントのひとつは、物価高の影響が大きい住民税非課税世帯への支援策です。1世帯あたり3万円を目安に給付金が支給され、子育て世帯には子ども1人当たり2万円が加算されることなどが明記されました。
給付の対象となる住民税非課税世帯の中には、年金生活の人も少なくありません。年金収入だけでは住民税の課税基準に届かないケースがあるためです。
そんな年金だけでは生活が厳しい人に向けて、今回決まった給付金とは別に、年金生活者支援給付金という制度が既にあることを知っているでしょうか。
そこで今回は、年金生活者支援給付金を受給するための要件や受給額などを解説します。
1. 年金生活者支援給付金とは
年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の方に対して支給されます。受給するには申請が必要で、9月に日本年金機構から届いた申請書に必要事項を記載し、返送する必要があります。
1.1 老齢年金生活者支援金の支給要件と支給額
老齢年金生活者支援給付金の支給対象者と支給額は、以下のとおりです。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下※2である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
支給額は、保険料納付済期間や保険料免除期間に応じて以下の計算式で算出します。
- 保険料納付済期間に基づく額(月額)=5310円×保険料納付済期間÷被保険者月数480月
- 保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1333円×保険料免除期間÷被保険者月数480月
老齢年金生活者支援給付金は、世帯単位ではなく「受給者ごと」に支給されます。そのため、夫婦2人がそれぞれ支給要件を満たす場合は、二人分の年金生活者支援給付金を受給できます。