年度の下半期も1ヶ月が過ぎました。今年度で定年を迎える人のなかには、来年4月以降も引き続き働き続けようと考えている人もいるでしょう。

再雇用された場合、給料は現役時代と比べて減るケースが多いです。急激に給料が減ってしまうと、生活レベルが維持できなくなる場合があるでしょう。こうした事態に備えて利用したいのが「高年齢雇用継続給付」です。

この記事では、高年齢雇用継続給付の概要や支給額、注意したいポイントについて解説します。

1. 高年齢雇用継続給付の概要

高年齢雇用継続給付は、60歳以降も継続して働く人や再雇用された人に対して支給される給付金です。給付には以下の2種類があります。

【写真全4枚】1枚目/高年齢雇用継続給付の概要・給付要件、2枚目/高年齢雇用継続給付の手続きの流れ

高年齢雇用継続給付の概要・給付要件

出所:厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」をもとに筆者作成

〈高年齢雇用継続基本給付金〉

  • 概要
    ・基本手当(再就職手当など基本手当を支給したとみなされる給付を含む)を受給していない人を対象とする給付金
    ・60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が60歳時点の75%未満となっている場合に支給される
  • 給付要件
    ・60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
    ・雇用保険の被保険者であった期間が5年以上あること。

〈高年齢再就職給付金〉

  • 概要
    ・基本手当を受給し再就職した人を対象とする給付金
    ・60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が60歳時点の75%未満となっている
  • 給付要件
    ・60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
    ・基本手当についての算定基礎期間が5年以上あること。
    ・再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること。
    ・1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に就いたこと。
    ・同一の就職について、再就職手当の支給を受けていないこと。

いずれの給付も60歳以降に受け取る給与が、60歳時点の賃金と比較して75%未満の金額となっている場合に支給されます。

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降も引き続き働く人向けの給付です。雇用保険の期間が5年以上ないと支給されない点に注意しましょう。

高年齢再就職給付金は、一度退職して雇用保険の基本手当を受給している人が再就職した際に受け取れる給付です。基本手当の支給残日数が少ない人や雇用保険の再就職手当を受け取った人は支給されません。