1. 老後の年金が最大184%になる「繰下げ受給」のしくみ

繰下げ受給は、年金受給開始を66歳から75歳までの間で「後ろ倒し」する方法です。資産・収入面で余裕があり、繰下げ待機中の生活に困らない人であれば、年金額を増やす仕組みとして活用できます。

繰下げた月数に応じた増額率が適用され、繰下げ上限年齢の75歳で受給を始めた場合、年金額は本来の「184%」となります。

※特別支給の老齢厚生年金には繰下げ制度は設けられていません

1.1 繰下げ受給のしくみ《増額率=繰下げた月数×0.7%》

  • 66歳から75歳の間で、後ろ倒しで年金を受け取り始める
  • 老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げが可能
  • 繰り下げた月数に応じて年金が増額される

次では、繰下げ請求のタイミングと、年金増額率の関係を詳しく見ていきます。

1.2 【グラフで分かる】繰下げ受給の増額イメージ

【グラフで分かる】繰下げ受給の増額イメージ

【グラフで分かる】繰下げ受給の増額イメージ

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとに筆者作成

増額率(最大84%※1) = 0.7% × 65歳に達した月※2から繰下げ申出月の前月までの月数※3

※1 昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなるため、増額率は最大で42%。
※2 年齢の計算は「年齢計算に関する法律」に基づいて行われ、65歳に達した日は、65歳の誕生日の前日となる。
(例)4月1日生まれの方が65歳に達した日は、誕生日の前日の3月31日。
※3 65歳以後に年金を受け取る権利が発生した場合は、年金を受け取る権利が発生した月から繰下げ申出月の前月までの月数で計算される。