2. 教育訓練を行うと給付制限が解除に
もう一つ、大きな改正ポイントとなっているのが教育訓練の受講による給付制限の解除です。
離職期間中や離職日前1年以内に、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を行った場合、給付制限が解除され、7日間の待機期間後すぐに失業給付が受けられます。
これまでもハローワークの受講指示を受けて職業訓練を受講した場合には、給付制限が解除されましたが、今回の改正では、自主的に教育訓練を受ける場合でも適用となるので、失業者には大きなメリットとなります。
3. その他の改正ポイント
2024年雇用保険制度改正のうち、2025年4月以降に施行となる失業給付や教育訓練に関する制度の改正ポイントを解説します。
3.1 就業促進手当の見直し
これまで、就業促進手当として、「就業手当」、「再就職手当」、「就業促進定着手当」が支給されていました。
2025年4月から、安定した職業でない仕事に早期再就職した場合の手当である「就業手当」は、支給実績が少ないことなどから廃止となりました。早期に安定した職業に就いた場合に、基本手当の支給残日数の一部が一時金として支給される「再就職手当」に変更はありません。「就業促進定着手当」は、早期に再就職したものの離職前より賃金が低下した場合の手当で、「再就職手当」に追加で支給されるものです。この支給上限が支給残日数の20%に引き下げられました。
改正により制度は簡素化されつつも、早期再就職を後押しする仕組みは維持されます。
<見直し内容>
就業手当を廃止するとともに、就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げる。
3.2 教育訓練支援給付金の給付率引下げ
初めて専門実践教育訓練を受講し、修了する見込みのある45才未満の離職者に対して、訓練期間中の受講支援として、教育訓練支援給付金が支給されます。この制度は2024年度末までの暫定措置でしたが、給付率が基本手当日額の80%から60%に引き下げられ、2年間延長となりました。
3.3 雇止めによる離職者の特例および地域延長給付の延長
雇止めによる離職者の基本手当の給付日数を倒産・解雇による離職者と同じ日数90日~330日とする特例、および雇用機会が不足する地域の給付日数を延長する「地域延長給付」(2024年度末までの暫定措置)が2年間延長となりました。
3.4 「教育訓練休暇給付金」の創設
被保険者期間が5年以上ある雇用保険被保険者が、教育訓練を受けるために休暇(無給)を取得した場合、基本手当に相当する給付として、賃金の一定割合を支給する制度「教育訓練休暇給付金」が創設されます。制度の施行は2025年10月1日からです。
この制度は、労働者の主体的な能力開発を支援する観点から、離職者を含めて、生活費の心配をせずに教育訓練に専念できることを目的として創設されます。