生活保護費の生活扶助は地域や年齢、世帯の人数などに応じて支給される基準額が決められ、5年に1度見直されます。
厚生労働省の発表によると、物価・賃金などが上昇していることを背景に、臨時的・特例的な措置として2025年10月から生活保護費の「生活扶助」を当面2年間にわたって月額500円増額することが決定しました。
生活に困窮されている方にとって朗報なのではないでしょうか。
本記事では、生活保護費の決定方法から各加算について解説していきます。
1. 生活保護制度とは?
生活保護制度とは、資産や能力を活用してもなお生活に困窮する方に対し、その生活に必要な額を援助する制度です。
具体的に、どのような人が対象になるのでしょうか。
2. 生活保護の対象になる人は?
以下の調査を行った結果、必要だと判断された方が生活保護を受給することができます。
- 生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
- 預貯金、保険、不動産等の資産調査
- 扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査
- 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
- 就労の可能性の調査
次章では、生活保護費の決まり方について解説します。
3. 生活保護費はどう決まる?
生活保護で支給される金額は、世帯の状況等によって異なります。
3.1 生活保護費のイメージ
収入と定められた基準(最低生活費)を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。
※最低生活費は、お住まいの地域や世帯の構成等により異なります
3.2 保護費の種類と内容
- 生活扶助
衣食、その他日常生活の費用をまかなうための扶助。飲食物費、光熱水費、移送費などを支給するもの。
- 住宅扶助
家賃、間代、地代等を支払う必要があるときや、補修、その他住宅を維持する必要があるときに行う扶助。
- 教育扶助
児童が、義務教育を受けるのに必要な扶助。
- 医療扶助
怪我や病気で医療費を必要とするときに行う扶助。原則として現物給付(投薬、処置、手術、入院等の直接給付)するもの。
- 介護扶助
要介護又は要支援と認定された方に対して行う扶助。原則として介護券を発行することにより現物給付するもの。
- 出産扶助
出産をするときに行う扶助。
- 生業扶助
仕事に必要な資金や、技能を修得するための費用、就労のための支度費等を必要とするときに行う扶助。
- 葬祭扶助
葬儀等を行う必要があるとき、行う扶助。
以上8つの扶助があります。
生活費だけでなく、家や子どもの学校に要する費用が支給され、医療や介護にかかる費用の本人負担はないので安心ですね。
4. 生活保護費の計算方法
続いて、生活保護費の算出方法について解説します。
まず生活扶助基準額は、年齢別の生活扶助基準によって異なります。例えば1級地-1(後ほど解説)にお住まいの70~74歳であれば、第1類の基準額は4万6460円です。
こちらに人数ごとの逓減率をかけます。仮に1人世帯であれば、1.0000です。
次に第2類の基準額は、同条件で2万7790円。ここまでの合計が生活扶助基準となり、さらに個別の状況に応じて加算がされていくということです。
4.1 級地制度
ここで知っておきたいのが、級地制度についてです。
生活保護は、地域における生活様式や物価差による生活水準の差を生活保護基準に反映させており、これを級地制度と呼びます。
お住まいの地域の具体的な基準については、厚生労働省「級地区分」等をご参照ください。
5. 生活保護費の加算
生活保護費には、各種扶助に上乗せされる「加算」があります。
千葉県を例に見てみましょう。
5.1 各種加算
このように、妊婦加算や児童養育加算、障害者加算、母子加算など様々な加算があります。
中でも冬に灯油代・暖房費等として支給される「冬季加算」についてご紹介します。
5.2 生活保護の冬季加算
「冬季加算」は地域区分、前述した級地、また世帯の人数によって増減します。
まず地域区分についてみていきましょう。
ここから、実際の加算額についてみていきます。1級地ー1を参考にしてみましょう。
- I区:10月から4月まで
- Ⅱ区:10月から4月まで
- Ⅲ区:11月から3月まで
- Ⅳ区:11月から3月まで
- Ⅴ区:11月から3月まで
- Ⅵ区:11月から3月まで
このように、地域区分によって6か月分、または4か月分と支給月数が異なります。
北海道や新潟県などといったI区・Ⅱ区は4月まで冬季加算が続くようです。
また、次の条件を満たす場合は加算額が1.3倍になります。
- 病気や障害等による療養のため外出が難しく、常に在宅されている方がいる世帯
- 1歳までの赤ちゃんがいる世帯
6. まとめにかえて
今回は「生活保護費」の決定方法から各加算について解説しました。
要点としては以下の3点です。
- 生活保護は収入と最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、差額が保護費として支給される
- 8種類の扶助とそれに上乗せされる加算がある
- 冬季加算は地域、世帯人数によって異なり、一定の条件で1.3倍となる
生活保護は生活に困窮されている方にとってなくてはならない保障制度です。
現在家計に苦しんでいる方は申請を視野に入れてもいいかもしれません。窓口は各自治体にある福祉事務所です。
※今回ご紹介した基準額、加算額はお住まいの地域によって異なります。LIMOでは個別のご相談は受け付けておりません。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度予算(案)の概要【参考資料】」
- 厚生労働省「生活保護制度」に関するQ&A
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和7年4月)」
- 厚生労働省「級地区分」
- 厚生労働省「冬季加算について」
- 厚生労働省「2025(令和7)年4月1日施行生活保護実施要領等」
- 千葉県「生活保護」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の基準」
LIMO編集部