セカンドライフを支える柱となる「老齢年金」の受給開始年齢は原則65歳。このタイミングで仕事をリタイアし、年金生活に入る世帯もあるでしょう。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、70歳代・二人以上のシニア世帯の「老後における生活資金源」として、以下が上位に挙がりました。(※世帯主の年齢が60歳以上世帯を対象。3つまでの複数回答)
- 1位:公的年金:87.3%
- 2位:企業年金、個人年金、保険金:32.6%
- 3位:金融資産の取り崩し:30.8%
- 4位:就業による収入:19.7%
公的年金は、シニア世代が最も頼る生活資金源。まさに老後の生活設計の基盤と言えるでしょう。
今回は、年金制度の基本や、2025年度の年金額改定、さらには今のシニア世代がどの程度年金を受け取れているかを眺めていきます。
1. 【国民年金+厚生年金】日本の公的年金制度は2階建て
「年金制度は2階建て」などと言われます。これはベース部分となる「国民年金」と、上乗せ部分となる厚生年金から構成されるためです。
それぞれの年金制度の基本を整理しましょう。
1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)
- 加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間納付すると65歳以降に満額(※2)を受給できる
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金(被用者年金)
- 加入対象:会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入
- 年金保険料:報酬(賞与・給与)に応じて計算される(上限額あり※3)
- 老後の受給額:国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
1.3 老後に受け取る年金タイプは2種類
現役時代は働き方や立場に応じて「国民年金のみに加入する人」「国民年金と厚生年金の両方に加入する人」に分かれます。これに応じて、老後に受け取る年金も変わります。
次は、厚生労働省の一次資料をもとに、令和の老齢年金世代が実際に受け取っている年金額の平均を見ていきます。